先例がモルドバの厳しい近未来を示している

ティム・カービー
2020年11月21日
Strategic Culture Foundation

 何年も、あらゆる側面からの攻撃と、ほぼ二度、強制退陣させられそうになった後、モルドバのイゴール・ドドン大統領は最近の大統領選挙で破れた。ドドンは親ロシアで、堅実な実利的政治家として知られており、彼の後釜は、将来モルドバが誰とつきあうべきかで、まさに反対の意見だ。我々、旧ソ連構成共和国諸国の、ロシアに親近感を持った指導者が、ワシントンの言いなりの人物に置き換えられた時、まさに何が起きるか、ここ数十年、何度も見てきた。ことわざ通り、歴史は「繰り返す」ので、おそらくモルドバの近未来は、かつて彼らの同国人だった近隣諸国と同じ軌道を進む可能性が極めて高い。

 最もありそうなのは、ウクライナ、グルジア、アルメニアのシナリオだ。

 これらの国々は全て特有の共通点/傾向を共有している。

  • これらの国々全てがロシアと文化的に深く結びつき、何世紀もソ連/ロシア帝国の一部だった。
  • 彼らの全てが、少なくとも一つ、多少緊迫した「変則的」領土を持っている(クリミア、アブハジア、南オセチア、ナゴルノ・カラバフと、最近のドンバス)。
  • これらの国々全てが、カラー革命風シナリオが展開した後、極端なロシア嫌いに移行した、つまり、ロシア嫌いが、革命政府による支配の正当化の根本的に重要な要素になったことを意味している。

 モルドバは、完全なカラー革命が起きたようには思われなかったのを除けば、上記の全ての基準を満たしている。ドドンは、大統領の座にいた全期間、政治的攻撃を受けていたが、彼を政権から追い出したのは、メディアの支援を得た街頭の抗議行動参加者ではなく、彼は単に選挙に負けたのだ。にドドンが堅実な支持率を享受していたことを考慮すれば、おそらく多少の選挙策略もあったが、現時点では証拠がなく、彼はこれまでのところ優雅に敗北を受け入れている。


画像:分離共和国になる可能性のある地域が、退任する大統領に多数派投票していたので、恐ろしい一触即発のシナリオが明らかになりつつある。

 だが、ドドンが最多の支持を獲得した地域が非常に多くを物語っている。ガガウジアと沿ドニエストルだ。これらは南オセチアやドンバスとほとんど同様、親欧米派で、潜在的にルーマニア民族主義の大統領が権力の座につくのを少しも喜んでいない地域だ。彼らの民族的構成は異なっており、問題なくロシア語を話せ、特に沿ドニエストル共和国は独自パスポートを発行し、基本的に何十年間も事実上独立した共和国で、自分たちを「モルドバ人」と考えていないのだ。

 我々が何度も見てきたように、親欧米で、逆説的に民族主義リベラル派が東ヨーロッパで権力を掌握すると少数派が苦境に立つ。この最も大胆な例は、彼の国境内の民族共和国を直接根絶しようとしたジョージアのサーカシビリだ。2008年、ジョージアで、伝統的な、直接の戦車 対 民間人大量虐殺の実際の試みがあった事実を無視して、ルカシェンコが「ヨーロッパ最後の独裁者」だという欧米は、実に信じ難い二重思考レベルだ。

 ドンバスでの戦争の恐怖はナチ風民兵大隊支配下の混乱した徴集兵が実行したが(驚くべきことに、欧米主流メディアが密かに認めた)、エレバンのカラー革命政権が始めた最近のナゴルノ・カラバフの残虐な混乱が、モルドバが確実に次の番なのを示している。

 日常レベルで、モルドバは経済的にも、近隣諸国と全く同じ仮定と失敗をするのは確実だ。新大統領と内閣は、EUが彼らを高く評価し、金持ちにしてくれると絶対に確信しているはずだ。彼らのどちらかと言うと弱い経済の半分が、食物、衣類とアルコールで、遥々輸送されるモルドバ・ワインがフランスのような競合相手に何らかの方法で打ち勝てるなど、ありそうにないと主張するだけ十分大胆なのは、ドドンのような少数のモルドバ政治家だけだ。更に、ワイン販売のためEUで競争するのは厳しいだけでなく、彼らのワインの主要輸入国ロシアを失うのは賢明な財政的動きではない。確かに、アディダスとザーラは、現地少量生産のモルドバと競争する見通しで、ガタガタ震えている。

 要するに、モルドバがEUに向かうことに関して聞ける唯一の議論はロシア嫌いだ。それ以外どれも意味をなさず、ロシア嫌い自体、ほとんど常時、特に合理的ではない。

 もちろん、奇妙で悲しく聞こえるかも知れないが、この二つとも、ワシントン外交政策の主要目的なので、LGBTパレードと宣伝は、ありふれているが、ソビエト社会主義共和国連邦の残滓を巡って、ロシア語が攻撃を受けるのは確実だ。

 これまで我々は、ロシアの旧領土での傾向が、どのよう、モルドバに影響を与えるか瞥見したが、なぜこれらの傾向が存在するのだろう?一体何が、これら政治の繰り返しパターンを起こし、それを変えるために、一体何ができるだろう?

 旧ソ連構成共和国内の分離共和国は、なぜ常にロシア側につくのだろう?

 簡単な答えは、ロシアは彼らが何をするか気にせず、これら地域の指導部は自国の最有力な民族の民族主義言説には、はまらないので、彼らが安全なのを知っているからだ。

 ロシアとプーチンが、なぜ常にロシア国内の少数民族から、このような強い支持を受けるのかと人々は不思議に思っている。これは彼らが、国境の向こう側で、ロシア人が、文化的、言語的に、扱われ、組織的に抑圧され、時に殺されるように、彼らを扱うだろうある種(リベラルな)民族主義者の勃興を恐れているためだ。

 分離共和国も、同じように物を見ており、彼らはロシアを、自国の現地語を絶滅させたり、異なる宗教に強制的に追いやったりしない勢力と見ている。一般にモスクワは、何百という小民族が、協力する限り、何をしても気にしない。一般にロシアは、拡張するにつれ、外の文化を根絶させずに、同化させてきたが、アブハジア海岸近くで、自分に向かって戦車が轟くのを聞けば、確実に、この態度が一層魅力的に思えるのだ。


 画像:2008年、ロシアが彼らを絶滅から救ったので、南オセチア人はロシアを愛してい。あなたもそうでは?

 ウズベキスタン国内で、同じロシア嫌いのゲームをするウズベク民族主義者がいるが、カザフスタンのウズベク人(そして多くの他の少数人種)は、ロシア嫌いのカザフ人民族主義者の圧力を感じないで済むよう「民族間コミュニケーション言語」としてロシア語の維持に大いに専念している。旧ソ連構成共和国で、純粋な生存本能から、怯えている少数派から多くのロシア語支持の独白が聞ける。ウズベキスタン国外のウズベク人は、カザフスタンで、時間とともに消えていくかもしれない権力に対するロシア手法が好きだ。

 いろいろな意味で、ロシアが弾圧に対する安全ネットであることが、そもそも、それほど多くの地域が加盟している理由だ。一方の側が、あなたを侵略し、あなたの宗教を押しつぶし、新しい言語を話すことを強いようと、他方、ロシアはあなたの税金を欲し、あなたの子供たちに学校で少しロシア語を学ぶよう求めるだろう。当時、イランやトルコのような国々がずっと恐ろしかったので、実際、多くの旧ソ連構成共和国が自発的にロシアに加入したのだ。

 なぜ分離共和国が、ロシア嫌いのリベラル国家主義者に攻撃されるのだろう、そんなことをすれば、彼らをロシアに引き渡すだけではないだろうか?

 旧ソビエト社会主義共和国連邦と多くの他の国々が共通に持っているものの一つは、何世紀にもわたる欧米への劣等感の伝統だ。欧米の見地から、ヨーロッパとアメリカは、崩壊していないにせよ衰退しつつある事実にかかわらず、東ヨーロッパ現地の田舎者は依然欧米への服従が、一夜にして彼らの国を金持ちで強力にすると絶対的に確信している。


 画像:「我々は何のためにマイダンで立ち上がったのか?」文化的劣等感のため彼らは南部方言のロシア人ではなく「ウクライナ人」だと確信している。(出典:ukr.media)

 ワルシャワ条約機構加盟国の人々は、自身を欧米より生得的に劣っていると認めているので、彼らはEU/ワシントンからの注目の価値を過信しているのだ。サーカシビリやパシニャンなどの小物の民主主義独裁者は、欧米は彼らの軍事的冒険で彼らを支援する新しい「友人たち」だと本気で信じたのだ。彼らは、ヨーロッパの白人神がいれば、恵みが与えられ、自信過剰になり、大胆になったように感じるのだ。彼らは、地図上で彼らの国を見つけられない人々が、彼らの運命を非常に深く気にかけ、彼らのために何でもするのをいとわないと確信しているのだ。家臣は、貴族が彼らと握手すると、彼を新しい親友だと思ってしまうのだ。

 旧ソ連内や周辺での、この劣等感の力は、控え目に言い過ぎることはできず、それは、ロシア人を含め、多少ロシア語を話す全ての文化に深く根ざす部分だ。欧米への服従が繁栄をもたらすという考えは、マイダン時のキエフで同じぐらい、モスクワの街頭で、不完全につづられた抗議プラカードにも良くある。

 上記が本当なら、ロシアはなぜこれを許すのだろう?

 良い疑問だ。究極的に、ロシア人自身、経済的、文化的、歴史的な関心以外に、人間は、しばしば感情や頭に浮かんでいる未知の非合理的動機に基づいて決定をするのを理解しているようには思えない。あなたが、ロシア人、専門家、政治家や思想家と話をする機会を得ると、事実上、彼らの誰も、上記のことを知らず、良くない意志決定に至っていることが極めて明確になる。誤った前提=失敗の結果。

 ある意味、旧ソ連構成共和国での政治的出来事の多くは、全てロシアが、コンテストが継続しているのを知らず、ましてや、可能なかぎり勝つ準備をしないため、負けている大きな人気コンテストに過ぎない。ロシア嫌いが見られ、認識され、分析されるが、決して、それが投影されているのと同じ手段で反撃しないのだ。

 親ロシア政治の中で、参加者は、空の金の十字を凝視しながら、世界最大の帝国の「くびき」から(二度目に)逃げようとして、文化的にマゾヒストの欧米の堕落に対して戦っている自身を見ている。だがこうした見解を支持する映画やビデオゲームがないのだ。ロシアを「クール」見させることができる最も面白い考えは、学術論議やズーム会議の酷い音声品質に隠されたままだ。旧領域に対し、ロシアは、自身を明らかに欧米より非常に優れているように思わせる方法で語っていない。

 ガガウジアや沿ドニエストル共和国現地の一部の人々に、来る窮乏の年月の新たな期間の目にあわせようとしているのは、自身を売り込むロシアの能力のなさなのだ。ロシアは、一度に一つの分離共和国の領域を取り戻すため「大量殺戮の制度に代わる選択肢」であることだけには依存できないのだ。

ティム・カービーは独立ジャーナリスト、TVとラジオ・ホスト。

個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2020/11/21/precedent-shows-that-near-future-moldova-will-be-grim/

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 「命の選別」発言を読みながら思う。東京で、小池百合子に、大阪で、吉村洋文に、投票するのは、いつでも、自分を殺してくれて結構ですと白紙委任するのと同じではなかろうか?

 LITERA

吉村洋文知事「命の選別」発言は“アンチのデマ”ではない! テレビで“治療を高齢者から若者に”と発言 背景に維新の優生思想

 日刊IWJガイド、今日も、重要な話題についての記事、中継情報満載。ごく一部を引用させていただこう。

【IWJ・Ch6】10:00~「種苗法廃案を求める国会前抗議アクション・座り込み行動」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch6

【IWJ・Ch5】17:00~「自衛隊を活かす会 講演と討論の夕べ『戦争と自衛隊を「我が事」として考える ―長谷部恭男「戦争と法」を読む』―登壇:長谷部恭男氏(早稲田大学大学院教授)、柳澤協二氏(元内閣官房副長官補)、加藤朗氏(桜美林大学教授)、伊勢崎賢治氏(東京外国語大学教授)」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会」主催の「講演と討論の夕べ」を中継します。これまでIWJが報じてきた自衛隊を活かす会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e8%87%aa%e8%a1%9b%e9%9a%8a%e3%82%92%e6%b4%bb%e3%81%8b%e3%81%99%e4%bc%9a
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【IWJ・エリアCh3・京都】19:00~「火を消し止めるなら今だ!―日本学術会議問題とフェミ科研から考える言論統制 ―講演:松宮孝明氏(立命館大学教授)、牟田和恵氏(大阪大学教授)」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach3

 「ユナイトきょうと」主催、「自由と平和のための京大有志の会」共催の集会を中継します。これまでIWJが報じてきた学術会議任命拒否問題関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%ad%a6%e8%a1%93%e4%bc%9a%e8%ad%b0%e4%bb%bb%e5%91%bd%e6%8b%92%e5%90%a6%e5%95%8f%e9%a1%8c