トルコ経済はエルドアンの新オスマン帝国を潰すだろうか?

2020年11月5日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 過去二年間、レジェップ・タイイップ・エルドアンのトルコは、シリアから、リビア、更にはキプロス、そして最近では、ナゴルノ・カラバフの地位を巡るアルメニアとの領土紛争でアゼルバイジャン側について、注目に値する一連の積極的な地政学的外国干渉をしてきた。一部の人々は、それをエルドアンの「新オスマン帝国」戦略と呼んでいる。それでも、急落するリラと、崩壊する国内経済が、彼の素晴らしい地政学野心を、予定外に終わらせる可能性がある。今トルコの経済危機はどれぐらい深刻なのだろう、エルドアンはプランBを持っているのだろう?

 リラ暴落

 10月末までに、成長を促進するため、中央銀行に低金利を要求するエルドアン大統領と、「リスクを相殺する」ため、より高いレートを要求する金融市場との間の、露骨な対立の中、トルコ・リラは一日で3%下落した。2020年、これまで、米ドルに対し、リラは34%下落し、過去五年で、70%下がっている。それがトルコ商品輸出を促進すると考えるむきもあるが、実際は、トルコの銀行制度と経済丸ごとの壮大な負債破裂を示している。問題は、エルドアンの成長の目論見に拍車をかけるため、トルコ銀行が、家を建てたり、ホテルろ他の中小企業を始めたりするために、トルコ消費者に貸す資金を借りるため、ドルベースの低金利銀行間市場に方向転換したことだ。リラがドルに対して下落する時は常に、古いドル負債を返済するため更なるリラ必要とし、本記事執筆時点で、1月以来、34%だ。

 このデータを見ている外国人投資家は、慌てて、トルコ株式・債権を清算して去ろうとしており、リラを更に下落させ、ローンを保証する資産に打撃を与えている。さらに、12%に近い公式インフレーションが危機を深めている。

 近年、エルドアンに拍車をかけられて、トルコ経済は、コロナ前の中国やインドのそれを越える率で拡大した。その大部分が、新住宅、ショッピングセンターや、ブームになっている観光ホテルなどの建設部門だった。問題は、リラ危機が終わりの兆しを見せず、EU諸国がコロナウイルスのため封鎖に入り、トルコ観光事業にとって、今それが破壊されつつあることだ。8月のピーク外国観光客シーズンに、観光客は、2019年8月から、壮大に70%も減った。そしてコロナ危機による世界経済不況で、全ての輸出は減少している。

 外債危機

 エルドアンの問題は、トルコ企業と銀行が、より低い金利で借りるため、主に海外市場に依存しており、もしリラが安定していたり、上昇したりすれば、これは魅力的なものだ。今年リラが34%か、それ以上下がれば、借り手にとって、大惨事だ。リラ下落を防ぐため、中央銀行は外貨準備高の多くを使い、金利上昇を避けるため、外国通貨スワップラインにさえ頼っている。これは状況に、様々な意味で1997年のアジア危機に似た、新しい危機の可能性をもたらしている。下落するリラは、建設会社がドルやユーロで、外国ローンを返済できないことを意味する。次は破産だ。2018年、トルコ銀行や政府同様、私企業は外貨で約4670億ドル借りていた。効果がないリラ防衛で、約650億ドルの外貨準備を失った後、2020年9月時点の中央銀行外貨準備高は、360億ドルかそれ以下だ。金準備金が420億ドルに減少した。これは安定していない。

 さらに悪いことに、9月に格付け機関ムーディーは、トルコ政府債務に対する格付けを、既に「ジャンク」だったが、B2に下げ、これまでの最低記録だ。現時点で、エルドアンには経済を回復する限られた選択肢と、三年後の再選がある。2012年から2018年までの極めて低い金利が、前例がない好況を生み出したが、現実は、負債で融資を受けた建設と、外国クレジットに依存する不動産バブルだった。それが今、ほころびつつあり、エルドアンの「積極的」外交政策の大きな悪影響がでるだろう。

 地政学的狙いは、危うい状態

 2010年、エルドアンの当時の外務大臣アフメト・ダウトオールは、有名な隣国との「ゼロ問題政策」を宣言した。それはずっと以前、外務大臣とともに消失している。今日エルドアンは、トルコのかつての同盟諸国全員と衝突するのに懸命なようだ。

 ここ数カ月間、沖合地域への主権を主張し、トルコのガス探査船を、EU加盟国キプロスとギリシャの領海に配備するエルドアンの大胆な試みは、仲間のNATO加盟国で、イスラエルとキプロスからギリシャ、更にフランス、イタリアへのガスパイプラインを計画しているギリシャとの直接衝突を引き起こした。トルコは国連海洋法条約署名を拒否している。

 さらに問題を複雑にしているのが、数カ月前、エルドアンは、ハフタル大将の強力な軍事進出に対して戦っている、ムスリム同胞団に率いられるリビア、トリポリの国民合意政府をあからさまに支持した。6月、ムスリム同胞団を支援するエルドアンは、トリポリを支援するためトルコ軍隊を送った。ハフタルは、ロシア、エジプト、UAEとフランスに支援されている。今年早々宣言されたトルコ-リビア経済特区は、計画されている東地中海イスラエル-キプロス-ギリシャのガスパイプライン経路を挑発的に横断している。

 シリアで、フランスは、シリア国境地帯で軍事プレゼンスを維持して、クルド人を支配している、エルドアンの宿敵、シリア・クルド人を支援している。フランスは、トルコに反対して、海洋ガスの権利を主張するキプロス-ギリシャの見解を支持している。フランスのトタル・エネルギー集団はキプロス・プロジェクトに積極的だ。

 最近、ジハード戦士による、フランスでのぞっとする斬首の後、エルドアンは、フランス商品ボイコットを呼びかけ、フランス風刺雑誌の預言者ムハンマドの漫画再版で、言論の自由の権利をマクロンが弁護した後、マクロンは精神を患っていると言った。

 リビアでの冒険に加えて、ロシアとの緊張を高めているのは、ナゴルノ・カラバフを巡り、ロシアの同盟国アルメニアとアゼルバイジャンの戦闘で、軍事補給と、可能性としては兵隊も、エルドアンが公然と支持していることだ。トルコ-アゼルバイジャン関係における新たな要因は、アゼルバイジャンからトルコに至る、今年前半に、トルコが、初めて5.44bcmのアゼルバイジャンガスを輸入して、2019年同期と比較して、23パーセントが増加している、トランスアナトリア・ガス・パイプラインだ。

 それでも、エルドアンは、ロシアの先進的なS-400ミサイル防衛システムを買うため、ロシアのプーチンとの良い関係を養うべく大いに努力し、NATOとワシントンから非難されている。

 この時点で、エルドアンのトルコによる異常に活発な外国介入は、EUによる重大な制裁やにほとんどあっていない。一つの明白な理由は、EUの銀行からトルコへの大量融資だ。9月17日のドイツのディ・ヴェルト紙報道によれば、スペイン、フランス、イギリスとドイツの銀行は、1000億ドルトルコに投資している。スペインが最大で、620億ドル、フランスが、290億ドルで続いている。それはEUが、より多くの金をトルコに注ぎ込むのを熱心に望んでいないが、経済封鎖という全面対決をするのには慎重で、薄氷を踏む思いで行動していることを意味する。

 エルドアンが様々な理由で、かしこまってIMFに行くのを拒否しているので、現在の彼の選択は、国内経済を安定させることに集中するため、彼の外国の地政学作戦を劇的に減らすか、プランBを発見することだ。この時点で、プランBの財政救済のために唯一あり得る候補者は中国だ。

 中国は溝を埋めることができるだろうか?

 近年エルドアンは、習近平と中国との関係を良くするため、注目に値する措置をとった。2019年、北京訪問の際、エルドアンは、新彊地域イスラム教ウイグル族の厳しい取り扱いとされるもので、中国を非難するのを拒否して、多くの人々に衝撃を与えた。トルコは何十年も、ウイグル地域を「東トルキスタン」と呼び、ウイグル族イスラム教徒難民を受け入れ、新彊での、エルドアンが、かつて中国の「大量虐殺」と呼んだものを非難してきた。2019年7月、北京訪問の際、エルドアンはウイグルにまつわる全ての発言を葬り去り、中国とのトルコ協力を称賛した。冷笑家が巨大な中国金融支援の希望がエルドアンの変化に影響したことを示唆するかもしれない。

 前回の2018年リラ危機の際、リラが40%落下した時、中国国有の中国工商銀行が、エネルギーと輸送プロジェクトのため、トルコ政府に36億ドル貸した。2019年6月、イスタンブール議会選挙で、エルドアンの支持が崩壊していることが明らかになった後、中国の中央銀行が、スワップ協定下で最大の10億ドルを送金した。2019年7月、習近平との北京会談は、選挙敗北直後、エルドアンが経済的に、かつてなかったほど脆弱だった時に行われた。中国のウイグル族は仲間のイスラム教徒かもしれないが、彼らはトルコ選挙で投票しないのだ。

 北京は期待に応えた。今年早々、中国の一帯一路構想(BRI)の下、中国輸出信用保険公司は、トルコのソブリン・ウエルス・ファンドに、BRIプロジェクトに使われる50億ドルを約束した。それまで、中国は、東トルコのカルスから、ジョージアのトビリシを経由し、アゼルバイジャンのカスピ海のバクーまで、そこで中国輸送ネットワークに接続リンクする鉄道に投資した。2015年、中国コンソーシアムが、トルコで三番目に大きいイスタンブールのコンテナ・ターミナル、クムポート港の65パーセントを買った。今年一月、橋を管理するイタリア-トルコ・コンソーシアムが身をひいた時、中国投資家がボスポラスの反対側でヨーロッパとアジアをつなぐヤウズ・スルタン・セリム橋の51パーセントを買って、エルドアンの威信プロジェクトを救済した。北京はトルコ企業に、貿易支払いのため、中国元を使うのを可能にし、中国の流動性へのアクセスを可能にした。

 中国の関与は、明らかにエルドアンにとって多少の支援にはなるが、それは、リラの最近の暴落を止めたり、トルコ経済を復活させるため、1000億ドルのEUと関連する借入金に取って代わったりするのに十分ではなかった。中国元リラ貿易とスワップ協定は、トルコが、より多くの中国商品を輸入するのを助けるが、トルコはEUや他のドル融資に返済するためにドルが必要だ。中国は、メディアの楽天的な主要ニュースにもかかわらず、今年のコロナウイルスによる世界封鎖と貿易崩壊によって大打撃を受け。中国輸出は、2019年レベルを決して回復せず、ひどい洪水とバッタ異常発生による国内食糧問題が、世界で二番目に大きい経済に、更なる負担を課したのだ。

 北京が、返済できないアフリカや他のBRI諸国と多くの債務再交渉を強いられるのに加えて、東シナ海や台湾周辺で、軍事対応を強化し、中国が経済を現在の国内向けに方向転換する中、習近平が、気まぐれなエルドアンとの最近の同盟を最高優先事項と見なすかどうかは疑わしい。

 次の選挙の年、2023年は、トルコが建国100年を祝う、エルドアンのAKPにとって栄光の年のはずだった。党の「2023年ビジョン」綱領は、自動車、鉄鋼と防衛産業で、トルコが世界ベストテンの経済、約2.6兆ドルのGDPになると主張している。

 今それは全て非現実的に見える。エルドアンとトルコ経済にとって、来月は非常に不穏で、透明からほど遠いように思われる。抜け目ないエルドアンは、使うべきき勝利の切り札を急速に使い果たしつつある。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/11/05/will-the-turkish-economy-kill-erdogan-s-new-ottoman-empire/

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 いくら世界最大の属国とは言え、大本営広報部、宗主国大統領選挙の方が、日本学術会議任命拒否問題より重要なのだ。

 「問題ない」「指摘にはあたらない」「あなたの質問には答える必要がない」という決まり文句で、大本営広報部速記者連中に守られていた人物が、忖度皆無の国会質疑に耐えられるわけがない。丁々発止の質疑応答で、デタラメ連発は予想通りの展開。「個別の人事に関しては答えられない」のみ。大本営広報部記者連中が育てた日陰の怪物が日光を浴びて悶え苦しんでいるよう。その意味で、大本営広報部速記者連中の行動、彼を養成し潰す深謀遠慮だったのかも知れない?

 国会パブリックビューイング、中身の濃い番組を作っておられる。下記は一時間半!

国会感想戦:川内博史議員 vs 菅義偉首相〜日本学術会議任命拒否問題をめぐって

 彼は、外国でも、検閲・言論統制会見。会見ではなく怪見。
 あの浅野健一氏のスクープを本澤二郎氏が引用しておられる。

哀れ菅義偉ジャカルタ会見<本澤二郎の「日本の風景」(3898)

 LITERA記事は正しい。洗脳が仕事の大本営広報部、有害無益な御用評論家・タレントしか起用しない。

都構想否決で橋下徹のトンデモ語録!「都構想でどうなるかなんてわからない」「ロマンの話なんで」