サウジアラビア:意欲的計画と実情

2020年7月20日
ビクトル・ミーヒン
New Eastern Outlook

 サウジアラビアは、今後10年で、首都リヤドの規模を拡大し、ペルシャ湾岸地域の経済的、社会的、文化的ハブへの転換を目指す意欲的な8000億ドル構想を実施する計画を発表した。

 この意欲的戦略は、今年のG20首脳の重要な高レベルの会議と、サウジアラビアの首都の経済、社会、文化的開発に責任を負う委員会に先立ち、リヤド市王立委員会ファハド・アル・ラシード委員長によって提出された。「リヤドは王国にとって、既に非常に重要な経済エンジンで、既に非常に成功しているが、Vision2030下のこの計画は、実際にそれを更に進めて、人口を1500万人に倍増するものだ」とファハド・アル・ラシード委員長がアラブ・ニュースに述べた。「我々は既に、居住性を改良し、より高い経済成長を実現して、雇用を生み出し、10年で、この都市の人口を二倍にする、1兆サウジ・リアル、2500億ドル以上の、18の巨大プロジェクトを開始している。これは重要な計画で、市をあげて、必ずこれを実現させようと努力している」と彼は付け加えた。乾燥した気候にもかかわらず、今後数年で、リヤドには700万本の木が植えられ、サルマーン国王公園は、完成すれば、ロンドンのハイドパークより大きくなると期待されている。

 これらすべての計画は本当に前途有望に聞こえ、石油業界のサウジアラビア・パートナーと熱狂を共有するのは容易なはずだ。不幸にして、現実は、さほどバラ色ではなく、「千夜一夜物語の筋」は、現実の厳しい事実を反映して、しばしば変化する。ファド・アル・ラシードは、サウジアラビアのVision2030について語ったが、王国のほぼ誰も、この戦略を気にかけているように思えない。それは、サウジアラビア指導部が、王国を素晴らしい場所に変えるのを望んでいないためではなく、国の基本的必需品のためにさえ、金が足りず、すべての領域で金を節約しなければならないためだ。だから、当面、非現実的な計画を忘れるほうが遥かに賢明なのだ。もちろん、くよくよせずに暮らすのは、純粋な喜びだが、そのためには、以前そうだったような強固な経済と高い収益が必要だ。

 ムハンマド・ビン・サルマーン・アル・サウド皇太子が実施している、浅慮で策定された石油戦略は、全ての石油生産諸国と、特にサウジアラビアに強い悪影響を与えている。 結果として、サウジアラビア指導部は、地に足を着け、あらゆる可能な分野で金を節約し始めるよう強いられた。だから、今のところ、サウジアラビアのVision2030は、ほとんど忘れられたように見える。

 困難に対処するため、サウジアラビアは、コロナウイルス流行の重大な経済的影響と突然の石油価格で下落に対処する経費削減計画の一環として、7月1日から、付加価値税(VAT)率を三倍にし、6月から生活費手当を停止した。約150万人の国家公務員が生活費手当停止で影響を受ける。生活費手当は、「VATとガソリン価格上昇を含め、増加した財政負担を相殺する」ため、2018年サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール=サウード国王によって導入された月1,000リヤル(267ドル)の支払いだ。王国では「三月、少なくとも20年間で最も速い勢いで、中央銀行外貨準備高が減り」2011年以来の最低レベルに達し、他方、石油収入が崩壊して、サウジアラビアの財政赤字は、2020年第1四半期、90億ドルに達した。2015年1月、サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール=サウードが国王になった際、国の「外貨準備高は7320億ドルになった」とマスコミ、ミドル・イースト・アイが報じた。サウジアラビア通貨当局によれば、これらの蓄えは、2019年12月までに4990億ドルに減り、それ以来減少し続けている。メッカとメディナ、二聖都巡礼のための外国人入国を一時停止するよう強いられたため、王国は、かなりの財務上の損失と、評判への打撃を被り続けている。

 サウジアラビアのムハンマド・ビン・アブドゥッラー・アール・ジャドアーン財務大臣は後悔の念に満ちて「コロナウイルス流行に由来する世界的経済危機」が、サウジアラビア経済に、三つの大きな衝撃をもたらしたと述べた。一つ目は、未曾有の石油価格下落が、王国の収入「急落をもたらした」ことだ。二つ目は「Covid-19の蔓延を抑制する防止策による多くの経済活動の停止」から生じ、今度は非石油収入に犠牲を強いた。三番目の衝撃は「Covid-19患者数の増加に対処するための医療部門での出費増加」によるものだ。「これら、まとまった難題が、政府収入の下落と、中・長期的に、王国のマクロ経済と公共財政に害を与えずには対処困難なレベルの財政圧力をもたらした」とムハンマド・アール・ジャドアーンが述べた。「そのため、更なる出費減少が、非石油収入を安定させる処置とともに、不可欠だ」と財務大臣は付け加えた。

 ちなみに、ムハンマド・アール・ジャドアーン財務大臣は、権力に飢えた皇太子が浪費した膨大な金額に言及するのを忘れたように思われる。どうやら、何も考えずに、彼は民主的に選出されたシリアのバッシャール・アル・アサド大統領打倒のため、膨大な金額を使った。今も、ムハンマド・ビン・サルマーン・アル・サウド皇太子は、シリアのイドリブ県を占領している過激派戦士に財政支援を続けて、複雑なシリア紛争の解決を遅らせるのに貢献している。サウジアラビアが、兄弟のような国イエメンでの内戦に介入した連合の先頭に立って、この貧困国で死と破壊をもたらしたのは、皇太子の戦略だった。このような軍事的な取り組みには、王国予算が緊急に必要としている、かなりの資金が必要だ。今でさえ、表面上、欧米が、サウジアラビアを支持しているふりをしながら、実際は、連中お気に入りの、分割して支配する戦略に従って、この重要な地域における立場を強化しているという単純な事実を理解し損ねて、リヤドは、イランとの緊張をかき立て続けている。加えて、旧式アメリカ兵器が、余りの高価格で王国に売られている。実際、サウジアラビアは、軍が必要とする以上の軍装備品と武器を蓄積しているのだ。主にソ連時代の武器で戦っている貧しいイエメン人に、敗北に苦しまされ続ける中、サウジアラビアの「タカ」は、本当にイランとの対決で勝利を収められると期待しているだろうか? 更に、もう一つの疑問が湧く。「サウジアラビアはなぜカタールとの関係を損ない、この小国に(アメリカが、やりがちな)厳しい制裁を課したのだろう?」 答えは「ほんのお遊び」のように思われる。

 今でさえ、皇太子の浅慮な政策の結果が感じられるように思える。実際、全員に、特にサウジアラビア王国にとって、世界石油市場での新たな緊張と、更なる財政損失のリスクがある。マスコミや専門家は、世界市場での更なる対立について報じている。石油輸出国機構(OPEC)と同盟諸国が同意した減産に従わないナイジェリアとアンゴラより安く売るために、サウジアラビアは石油を割引して売ると脅した。世界最大生産能力のサウジアラビア王国の強硬姿勢は、重大な結果になるのが確実な次の石油価格戦争を招きかねない。中国とインドを最大顧客として頼るナイジェリアとアンゴラの代表に、「あなた方の客が誰か我々は知っている」とサウジアラビア・エネルギー大臣が言ったと報じられている。だがインドは、まだコロナウイルス流行の真っ只中にあり、それ故、経済はまだ回復していない。リヤドの唯一の希望、中国は、パイプライン経由で、ロシアから安い石油とガスを無限に得ている。今の厳しい環境で、モスクワが、これら化石燃料供給を減らす計画を持っていないのは非常に明確だ。だから、サウジアラビア指導部は、性急な決定をする前に、立ち止まって、しっかり長考する以外、選択肢はない。世界は変わり、もはやサウジアラビアは世界石油市場の唯一のリーダーではないのだ。

 リヤド当局者が、意欲的計画について話し続けるのは自由だが、それを実現するには莫大な資金が必要で、現在サウジアラビア王国は、その予算を持ち合わせていないのだ。財政的裏付けがなければ、これら全ての希望と夢は、もっと近くで良く見ようとすると、すぐに見えなくなる、アラビア砂漠の蜃気楼以外の何ものでもない。

 ビクトル・ミーヒンは、ロシア自然科学アカデミー客員。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/07/20/saudi-arabia-ambitious-plans-and-facts-on-the-ground/

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 LITERA

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「安楽死」の名を借りてALS患者を殺害した元厚労省医系技官らのグロテスクな優生思想! 麻生財務相や古市憲寿も同類

 「医系技官」の言葉で、先日の「そもそも総研」を思い出した。PCR検査が拡大しないのは、厚生省の医系技官の反対によるものだと報じていたものだ。”新型コロナ対策”分科会メンバーの小林慶一郎氏の話しから、玉川氏が、更に厚生省に確認したもの。
 要旨は「医系技官が、ハンセン氏病で隔離政策を取った国が被害者から訴訟を起こされたことがトラウマになっていて、感染者を隔離することになる、PCR検査拡充に反対している」

 隔離された人が擬陽性であることが判明し、国を訴えれば国側が敗訴するそうだ。

 トラウマを理由に蔓延を放置した結果、多数の方々が亡くなっても罪にならない。

 「人を一人殺せば殺人者だが、百万人殺せば英雄だ。」ジャン・ロスタン