中国-インド間紛争がエスカレートするかもしれない理由

2020年6月18日
Moon of Alabama

 月曜夜、インドと中国兵士の戦闘で、数十人の命が失われた。

月曜夜、 この50年で最大の軍事対決、東ラダック地方のガルワン渓谷で中国軍兵士との凄まじい衝突で、部隊指揮官(CO)を含め20人のインド軍人が、亡くなり、地域の既に激しやすい境界紛争を大きくエスカレートさせている。
政府筋が、中国側も「相応の死傷者」を出したと述べたが、人数をあれこれ詮索しないことに決めている。匿名情報によれば、衝突で、少なくとも43人の中国兵士が、ひどく負傷したか、亡くなったと推測されている。

 双方が両国の実効支配線(LAC)に沿って、銃を使わないことに同意していた。兵士は、非常に冷たい川が流れる険しい峡谷の高度4,000メートル(14,000フィート)の山の尾根で、夜間お互い戦うため警棒と石を使った。どうやら、死者の多くが、尾根から川に落ち、低体温症で亡くなったのだ。

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 歴史的に不明瞭で、係争中の国境地帯における小規模衝突は四月から続いていた。直接の理由はインドがLACに向けて作った新軍用連絡道路と、攻撃的パトロールのように思われる。だが、これら衝突の背後にある戦略上の理由は遥かに大きく立ちはだかっているようだ。

 まずは、この地域の歴史を一瞥しよう。

イギリスのインド撤退時点で、ジャンムー・カシミール藩王国支配者マハーラージャ、ハリー・シングは、独立し、インドとパキスタンという後継領地間で中立のままでたいと望んだ。だが国の西部地区での蜂起、それに続く隣接する北西辺境州からのパキスタンに支援される襲撃者による攻撃が彼の独立計画を終わらせた。1947年10月26日、マハーラージャは軍事援助と引き換えに、インド領に帰属する協定書に署名した。現在、アザド・カシミールと、ギルギット・バルティスタン州として知られる西部と北部の地区はパキスタン支配下に渡り、他方、残る領域はインドのジャンムー・カシミール州になった。

 帰属は特定問題に限定され、ジャンムー・カシミールは自治権がある州になった。

 1947年のインド-パキスタン分割の際、中国は歴史的にチベットの部分アクサイチンをとったが、パキスタンは、ギルギット・バルティスタン州として知られる区域、北の部分をとった。歴史的、宗教的、文化的な理由から、双方とも、おそらく現在インドの地域の更に多くの部分の領有を主張したがるだろう。

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 カシミールは、大半がイスラム教徒で、パキスタンは自国の一部と見ている。東ラダック地域はかつてチベットに属していた。中国側のアクサイチンの仏教徒と同様、よく似たチベット方言を話す人々が僅かに暮らしている。

 2019年8月、ナレンドラ・モディ大統領下のヒンズー・ファシスト政府は、ジャンムー・カシミール地域の自治権を保証する憲法の一部を一方的に無効にした。インドは中国境界に沿ったラダック部分の領有を主張した。これが、パキスタンとの新しく復活した衝突を引き起こすと我々は予測した:

ジャンムー・カシミール地域はイスラム教徒が大多数だ。パキスタンの主要水源インダス河川系の源流がジャンムー・カシミール地域の山にあるので、戦略上の重要だ。パキスタン人の民族主義者は、そこは彼らの国の一部であるべきだと信じている。
ジャンムー・カシミール地域の特別な地位が、その住民をインドからの圧倒的なヒンズー教信者移住から守ってきた。モディ大統領は支持者たちに、この州に引っ越すよう勧めるだろう。彼の目的は、結局、現在大多数がイスラム教徒である州を、ヒンズー教徒が大多数の州にすることなのだ。

 インド政府の動議が議会で論じられた際、大臣が今中国とパキスタンに属する地域の領有を主張した:

火曜、アミット・シャー内務大臣は、インド国会下院ローク・サバーで、パキスタンに占領されたカシミール(PoK)とアクサイチンはジャンムー・カシミールの一部で、カシミール渓谷はインド領土だと断言した。
「カシミールはインドの領土で、それには疑いようがない。私がジャンムー・カシミールについて話をする際、パキスタンに占領されたカシミールとアクサイチンもその中に含まれる」と彼が言った。

 この主張はイスラマバードと北京で警鐘を鳴らした。

 中国とパキスタンの唯一共通の国境は、パキスタン実効支配カシミール(POK)にある。もしインドが、万一、この地域を取り戻そうと試みれば、パキスタンと中国は分離される。パキスタン海岸から中国に向かう道路や鉄道やパイプラインを建設する500億ドル・プロジェクト、中国パキスタン経済回廊地帯(CPEC)は中断されるだろう。

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 中国はアメリカが支配する南シナ海とマラッカ海峡を通る海路に代わる戦略上重要な通商路として、この回廊に資金供給している。

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 太平洋で、いつか起きかねない紛争のため、中東油田からの輸送路を維持するのにパキスタン経由ルートが中国には必要なのだ。

中国にとっての核心的権益は、1994年に成立した満場一致の議会決議の実現を求めてギルギット・バルティスタン州を取り戻し、カシミールを統一するという長年の目標をインドが実現するのを断固思いとどまらせることだ。中国は、チベットと新彊間の重要経路であるアクサイチンの領有も主張している。

 昨年のジャンムー・カシミール地域の自治剥奪は、中国を恐れさせた唯一の問題ではなかった。モディ大統領下のインドは、伝統的な中立を放棄し、対中国協定であるアメリカの「インド-太平洋」プロジェクトに参加した。この地域で、インドは、かなり長期間、軍事インフラを増強している。

それがアクサイチンに加える圧力ゆえに、実効支配線(LAC)近辺のインドによるインフラ整備にも、中国は不快感を抱いている。

2008年までに、インドは、ラダックへの主要航空援護ハブとしてのレーへの依存を減らし、ダウラト・ベグ・オルディ(DBO)とフクチェ飛行場を復活させた。一年後、ニョマ飛行場も復活させた。「DBOは、カラコルム峠を通る、いにしえのレー・タリム盆地通商路上にあり、アクサイチンの、わずか9キロ北西にある。チベットではなく、中国の新彊州とインドの物理的な絆がDBO経由なので、これは重要だ」と匿名希望の、ある元外交官が言った。

航空インフラの復活は、LACに沿って、軍隊と軍事補給を迅速に投入するインドの能力を増大させた。「DBO、フクチェとニョマ飛行場が、レーを補完し、LAC沿いでのインド軍と装置の戦域内移動を大きく強化した」と(退役)空軍少将アミット・アネジャがヒンズー紙に語った。

ダルブク – ショク – ダウラト・ベグ・オルディ(DSDBO)という255キロの幹線道路を建設するインドの活動が、LAC沿いでのインドの接続性を強固にしたため、アクサイチンに対する圧力は更に強化した。

 人工衛星写真が、中国が更に多くの軍隊をLACの背後に配備しており、状況が更に拡大した場合に備えていることを示している。インドも増援を広範な地域に送っている。

 最近の衝突で、アメリカとオーストラリアは口頭でインドを支援した。だが、いずれも実際の紛争に関与するとは思えない。

 1962年の中国-インド戦争も、似たような国境での小ぜり合いと、より広範な戦略上の背景で始まった。数日のうちに、中国はインドから、いくつかの地域をとったが、一カ月後、それはインド領域に取り戻された。狙いは、インドに教訓を与えることで、その狙いは実現していた。

 もし対立が拡大すれば、モディ大統領に対し、中立でない連合や外国領土に対する権利主張には代償が伴うと、注意を喚起するため、似たような限定された短期的紛争があるを私は予想している。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2020/06/why-the-chinese-indian-skirmishes-may-escalate.html

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日刊IWJガイド「橋下徹氏によるIWJ岩上安身への、削除済みリツイートに対する『スラップ訴訟』判決言い渡し、弁護団声明と記者会見のご報告」2020.6.24日号 ~No.2841号

 もはや、死法!

西川知一郎裁判長は、岩上安身の控訴を棄却しました。

 孫崎氏の今日のメルマガ、まさに、この記事のテーマ。

16日、インドとチベット国境で中印軍衝突。英ファイナンシャル・タイムズ紙、米国 フォーリン・アフェアーズ誌は米中緊張の中で、インドを米国側に押しやる動きと評価。 インドと中国の軍司令官は、両軍が係争地で対峙している軍の撤退で合意。中印双方発表。

 原発問題を追求している、あのお二人、コロナ問題も追求しておられる。

【NIGHT CAP】 No.9 自粛中でも大活躍 おしどり x 鈴木耕

 川村湊氏の福島原発人災記と新型コロナウイルス人災記を連想。