コロナウイルス世界的大流行による連邦主義への打撃

Wayne Madsen
2020年3月28日
Strategic Culture Foundation

 コロナウイルスの世界的大流行は、世界中の人々に甚だしい犠牲をもたらしている。だが世界的大流行は、もう一つの付加的な犠牲も、もたらしている。中央政府幹部が、連邦機関構成要素の全てに、等しい安全・医療対策を提供すべき様々な形の連合で、中央が責任を回避し、国全体のための行動をし損ねたり、特定選挙区を優遇したりしている。この世界的大流行の中で、連邦構造の最も言語道断な失敗の二つは、極右陰謀信者の誇大妄想大統領に率いられた二国、すなわち、アメリカとブラジルだ。

 世界的大流行の真っ最中に、アメリカのドナルド・トランプ大統領と、ブラジルのヤイル・ボルソナーロ大統領が、フロリダ州パームビーチ、トランプのマー・ア・ラゴ億万長者クラブでパーティー騒ぎをしたのは驚きではない。彼らもスタッフの誰も理解していなかったのは、マー・ア・ラゴが、コロナウイルスのホット・ゾーンになる瀬戸際だったことだ。報道官を含め、ボルソナーロ代表団の何人かのメンバーがCOVID -10陽性と診断された。致死性ウイルスは、トランプの客の一人、フロリダ州マイアミの共和党市長フランシス・スアレスにも感染し、陽性の検査結果になっている。パームビーチ住民でファッション経営者のアメリカの大使ラナ・マークは、マー・ア・ラゴで、コロナウイルス陽性の人と接触し、南アフリカ訪問中の米軍艦船を訪問したプレトリアのアメリカ大使館スタッフに感染させた可能性がある。

 ウイルスとその速い世界的蔓延の伝染性についての科学的報告やニュース報道を信じずに、ボルソナーロとトランプは、マー・ア・ラゴでの時間の大半を一緒に過ごした。この無気力な態度で、両連邦共和国の各州が(両国トップが全く頼りにならないので、彼らは独力で断固とした行動をとることに決める結果となった。中央政府が、国家安全保障や外交問題や金融政策や財政や他の機能など、共通ニーズを提供でき、州は、教育や公衆衛生や社会福祉や、地方自治や他の分野のような、より直接の問題に専心できると判断するので、州は連盟に加わるのだ。

 2017年、二つの破壊的な嵐の後、共にアメリカ領のプエルトリコとアメリカ領ヴァージン諸島のハリケーン復興に対する連邦の配慮をトランプが放棄したのは、トランプ印のリバタリアン縁故主義が、将来、州に悪影響を与えるという、州への警鐘だった。コロナウイルスが、アジアから、ワシントン州、カリフォルニア州、ニューヨーク州に入った時、トランプの愚かさは悪夢のような現実になった。共和党ホワイトハウスと、上院からの支援のどんな明らかな兆しもなしで、ウイルスを扱うよう彼らが委ねられた際、トランプは三つの州の民主党知事を、大人げなくあざけるという手段に訴えた。

 カリフォルニアが、まずは、サンフランシスコ湾エリア、続いて州全体を最初に封鎖するという自身の独自政策を採用して、ウイルスの脅威に対処した際、アメリカ合州国の連邦制は縫い目からほつれ始めた。ワシントン州知事は、既に彼の州を封鎖しており、まもなくニューヨーク州も封鎖した。

 トランプ・ホワイトハウスからの、いかなる明確な指導力も無い中、アメリカ北東部で検疫隔離や他の健康政策を調整する新たな地域政治組織が具体化し始めた。コロナウイルスと戦う上で、ニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州、ペンシルベニア州とデラウェア州で、全ての民主党知事は、コロナウイルストの戦いの上での資源共有や、検疫隔離、旅行、事業閉鎖に関する共通政策を確立するため、彼ら自身の特別同盟を立ち上げた。今までにも、戦時や他の壊滅的な出来事で、必要性から、新たな国家が生まれたというのが実情だった。こうして、アンドリュー・クオモ・ニューヨーク知事が、簡潔にするために「Midatlantica(中部大西洋沿岸地域)」と呼ばれる、この新しい複数州政治連合の事実上のリーダーになった。クオモは、ホワイトハウスに、責任を持って行動する能力がないことを悟り「我々は医療用品を求めて、文字通り地球を捜し回っている」と述べたが、これは通常、中央政府が行っている外交政策の動きだ。以前、カリフォルニア州、オレゴン州とワシントン州は、環境政策を含めて、彼らの州に有害と感じたトランプ政策に対する対応を、三人の民主党州知事が調整していたのだ。

 3月22日、不平を言っている知事たちを、トランプはTweetで非難した。「イリノイ州のJBプリツカー知事や、他の知事たちの非常に小さい集団は、フェイク・ニュースCNNと、エセキャスト MSDNC[原文のまま](Comcast MSNBCのこと)と一緒に、彼ら自身の欠点を、連邦政府のせいにするべきではない。」さいは投げられた、アメリカ合州国という連邦共和国は、トランプ政権の優柔不断な無能力のおかげで、生命維持装置につながれている。アメリカ人が大勢死に始めるにつれ、燃えるローマの皇帝ネロのように、トランプは、Twitter投稿している。

 コロナウイルスが、アメリカに益々大きな影響を与え始めるにつれ、ハワイは、列島の非居住者による、かつて独立していた旧ポリネシア王国への旅行禁止を発表した。到着する訪問者は、14日間、ホテルで隔離生活するよう命じられるので、観光客の流れは効果的にごくわずかに絞られた。フロリダでは、トランプ支持のごますり屋ロン・デサンティス知事が、ウイルス蔓延に対処する具体的行動をとるのを延期すると決めた。それは、社会経済学的に「コンチ共和国」として知られるフロリダキーズの島々が、特定の理由以外、非居住者から島を隔離する結果となった。フロリダの各病院が、緊急治療室と集中治療室で、Covid-19患者のストレスを感じ始めるにつれ、デサンティスは、フロリダ共和党下院議長ホセ・オリヴァに、今どき無神経な献呈の辞「医療産業複合体の殺害者」と刻んだ野球バットを与えるのに適切な時期だと決定した。

 3月11日、デサンティスは、州の医療労働者の個人保護装置を、フロリダに提供するよう連邦政府に要請した。トランプは要求された全ての資材を供給した。新興のMidatlantica地域や、イリノイ州や、西海岸地域を含む他の州は、要請した物品や装置のごくわずかしか受け取れず、アメリカ連邦制の心臓への、もう一本の短剣となった。マイアミ・ヘラルドは、世界的大流行についてテレビ放送されたデサンティス発言を「散漫な、支離滅裂な余りに長たらしい独白だ」と報じた。トランプ記者会見にも同じことが言える。

 州だけでなく、公式な主権がある部族ネイションも、アメリカ先住民に対する人種的悪意の実績があるトランプによる無視の対象だ。アリゾナのナバホ・ネイション、アラスカのタナナ・イヌイット・ネイションや、サウスダコタのオガララ・スー・ネイションなどの部族組織が、彼らの領土の事業や他の活動を停止し、部外者に彼らの土地に近寄らないように言っている。連邦支援のない部族ネイションは、Midatlanticaや、太平洋沿岸州や、他の地域が行っているのと同じ自助戦略を強調している。

 ボルソナーロ政権の無為の後、先を見越した措置をとることに対して、お仲間トランプの命を受けたボルソナーロは、ブラジルの様々な州知事に対する攻撃を始めた。コロナウイルスを「空想」と呼んだボルソナーロは、彼の州を効果的に封鎖し、ブラジルの他地域から隔離していることに対し、サンパウロ州知事ジョアオ・ドリアを嘲笑した。ドリアは「我々は彼がしていないことをしている。彼がそれをする際、彼はそれをやりそこなう。」と言ってボルソナーロに反撃した。このコメントは、アメリカの知事たちがトランプについて言ったことの多くと共鳴する。ボルソナーロは、外国航空機に対して、リオ国際空港を封鎖すると決定したリオデジャネイロのウィルソン・ヴィツェル知事と、連邦制度の戦いをすると決めた。ボルソナーロは、ヴィツェルには、そのような権限がないことを強く主張した。ボルソナーロと息子のエドゥアルド・ボルソナーロは、コロナウイルスをもたらしたと言って中国を非難する上で、トランプを模倣した後に、ブラジリア連邦直轄区のイバナイス・ロシャ知事が中国に医療支援を求めた。もし「ブラジル連邦共和国」が現在の形で、コロナウイルスから生き残れば、大きな衝撃ではないだろう。

 トランプやデサンティスやボルソナーロのパンデミック「無干渉主義」対応は、イギリスでは、ボリス・ジョンソン首相、オーストラリアではスコット・モリソン首相が、それぞれ彼らのイデオロギー的分身となっている。ジョンソンの無能さから、住民に感染するのを避けるために、認められている医療慣行である隔離とは反する「集団免疫」というばかばかしい概念を採用することにより拡大された。集団免疫は、人々が自身の面倒をみることができれば、共同体が自身を病気から守れることを仮定している。ジョンソンの奇妙な顧問ドミニク・カミングスは集団免疫概念に頼るようジョンソンを説得して、コロナウイルスが、イギリス全土に、野放しで蔓延することになったのだ。

 イギリス人の一部は、アメリカと同様、ジョンソンのトーリー党リバタリアニズム政策が彼らや選挙民に対する脅威なのを理解した。地域当局は、旅行者に、彼らの名所訪問を避けるよう要求している。これら当局には、シリー諸島、コーンウォール、アングルシー、ウェイト島、コール・ ナン・エラン・シアー(ウェスターン・アイルズ)、ハイランドがあり、他の地方自治体は、休暇施設を利用しようとしている観光客や非永住者に来ないように要請している。だが、ジョンソンの命令なしで、これらの遠隔地は最小医療活動で脆弱なままに放置されている。イギリス中で、国庫補助保証なしで、地域共同体が外部から自身を隔離するのを強いられる中、ジョンソンの「集団免疫」たわごとが作動した結果を人々は目にしている。

 オーストラリアでは、モリソンのキリスト教原理主義「終わりの時」のたわごとから、各州が自身の行動をする結果になった。キャンベラ連邦政府は最近の破壊的な山火事の間そうだったと同じように無能だった。島国のタスマニア州は、トレス・ストレイト島やケープヨークやロード・ハウ島やノーフォーク島と同様、オーストラリアの他の地域から自身を隔離した。西オーストラリア州、クィーンズランド州、南オーストラリア州とノーザン・テリトリーは他のオーストラリア地域に対して、彼らの境界を閉ざす未曾有の行動をとった。この決定の一因は、極めて脆弱なアボリジニーをウイルスから守るためだった。オーストラリアの連邦主義が、コロナウイルス世界的大流行で大打撃を受けたが、これはオーストラリア政治の未来を形成することになろう。

 より機能的な連邦制の他の国々は、構成各州が、問題を自身で処理している。ドイツでは、バイエルン州とザールラント州は、独立したベネルクス連合の加盟諸国、ベルギー、オランダとルクセンブルグ同様、効果的に、境界を閉鎖した。自身を「ザンジバル革命政府」と呼ぶタンザニア連合共和国の島々は、タンザニア本土からの非居住者による、全ての訪問を禁止した。トバゴ議会は、姉妹島トリニダードからのトバゴへの路上に縁石を置いた。ネヴィスは姉妹島セントキッツ島からを含め、各島への旅行を制限した。

 コロナウイルスは、世界中の連邦制の、むらのある姿を暴露した。世界的大流行の間、連邦幹部は、連盟の全メンバーに奉仕し損ねたと州が判断すれば、政治的代償が支払われ、一部の州が連邦から離脱することになるかもしれない。

 アメリカ合州国は、自分たちがフィラデルフィアで作りあげた連邦政府の形態が、存続可能な国家的独立を維持するだろうと信じた政治家に設立された。ジェイムズ・マディソン、エイブラハム・リンカーンやフランクリン・D・ルーズベルト大統領は、戦争中、国を維持した。ドナルド・トランプは、第二次世界大戦以来、アメリカにとって、最も実存的な脅威の中、連邦共和国に対する責任と責務を、犯罪的に無責任に否認することで、ほとんど連邦制を破壊した。彼の名前と彼の政権は悪評のみが生き続けるだろう。

 Wayne Madsenは、調査ジャーナリスト、著者、シンジケート・コラムニスト。新聞雑誌専門記者協会(SPJ)とナショナル・プレスクラブのメンバー

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2020/03/28/the-pandemics-toll-on-federalism/

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