皇太子が起こした問題から撤退するサウジアラビア

2019年12月6日
Moon of Alabama

 サウジアラビアのサルマン国王が息子のモハマド・ビン・サルマーン(MbS)を防衛大臣に、そして皇太子に昇進させた時、期待は高かった。だがムハンマドが始めた大規模プロジェクトの三つが間もなく問題に出くわした。今彼が起こした損害を制限する構想が進行中だ。イエメンに対する5年来のサウジアラビア戦争の終わりが視界に入っている。サウジアラビア国有の石油会社アラムコの株式公開は最終的に行われたが、当初計画されたものよりずっと低い評価だった。カタールとの30カ月の口論は修復中だ。

 2019年8月17日のサウジアラビア石油設備に対するイエメン無人飛行機攻撃が、サウジアラビアが戦争に敗北したことを証明した。Moon of Alabamaの見出しは、それが持つであろう効果を強調していた。

サウジアラビア油田に対する長距離攻撃が対イエメン戦争を終わらせる

今日の攻撃はサウジアラビアに対する王手詰みの手だ。シャイバー油田はフーシ派が支配する領土から約1,200キロ(750マイル)だ。その範囲以内には遥かに多くの重要な経済的標的があるのだ。

攻撃はサウジアラビアの最も重要な資産が今脅威の下にあることを決定的に明示している。サウジアラビアでIMFが予測する7パーセントの赤字予算に加えて、この経済的脅威だ。フーシ派に対するこれ以上のサウジアラビア爆撃は、サウジアラビア国家の生存能力を危険にさらしかねない非常に高価な追加代償を伴うだろう。フーシ派はモハマド・ビン・サルマーン皇太子の弱みを握っており、思うが圧力がかけられるのだ。

 一カ月後、もう一つの大規模攻撃がサウジアラビア石油生産の半分を停止させた。

 以来サウジアラビアは、彼らの石油設備の周辺で一層の航空防衛を実現するため追加アメリカ装置を購入した。だがアメリカの対空防衛システムは、イエメンが開始した種類の攻撃に対して効果的ではない。サウジアラビアは和平を求める以外選択肢がなかった。

 オマーンで、数カ月間、サウジアラビア当局者とフーシ派代表団間の協議が行われた。初期的合意がなされたが、公式発表はされなかった。今日、サウジアラビアのアーデル・アル・ジュベイル外務担当国務大臣が初めてフーシ派を合法的なイエメン組織として認める発言をして状況は変化した。

イエメンの状況について語って、アル・ジュベイル外務担当国務大臣は和解で、停戦に達する可能性があると述べた。

「イエメンは我々にとって極めて重要で、イランの介入は破壊的だ。イエメンでの唯一の解決策は政治的なものであり、戦争を始めたのは我々ではなく、フーシ派だ。」

フーシ派を含め全てのイエメン人がイエメンの将来に役割を持っていると彼は付け加えた

 今日サウジアラビアはフーシ派に属する約200人の捕虜を釈放した。彼らはイエメンの首都サヌアに飛行機で運ばれた。初期的な協定は、フーシ派と、サウジアラビアが支配する前大統領ハディによって共通政府を組織することを想定している。

 これはまだ終戦ではない。サウジアラビアがまだいくつか非現実的な要求をしているので、新たなイエメン政府が進展するには、かなり長期間を要するだろう:

サウジアラビアは、イランから、彼らの支配権を奪うことで、北イエメンで、フーシ派と何らかの共存をする用意があるように思われる。リヤドで、南部暫定評議会と国連が認めているアデン政府間の権限分担協定に署名した後、サウジアラビアとUAEは、イエメンでの彼らのぶざまな戦争の次段階に進む準備ができているように思われる。

果てしない戦いの代わりに、サウジアラビアは、地域の競争相手イランとの結びつきを断つよう、フーシ派を説得しようとしている。結局、フーシ派が望んでいるのは、イエメンにおける彼らの新たな戦略上の立場の正当性なのだ。彼らの考えでは、これが、類似の権限分担合意、アブド・ラッボ・マンスール・ハーディー大統領の政府と、南の分離主義者を含む連盟風新体制で、彼らの参加保証が明記されなければならない。

 イランは決してフーシ派を「支配」してはいない。アメリカ国務省さえ最近主張を変え、最終的にこう認めた

イエメン戦争を終わらせるためのイエメン・フーシ派とサウジアラビアの協議における進歩で、評論家たち言う変化を反映して、今日、国務省でイランを担当するブライアン・フックは、停戦提案を提示する上で、一層建設的な役割を果たしている彼が言うフーシ派をイランは代弁していないと述べたのだ。

「9月14日にイランがサウジアラビア石油設備を攻撃してわずか数日後、フーシ派がサウジアラビアにミサイルと空襲の中止を提案したことを我々は想起するべきだ」とフックは国務省で記者団に述べた。

サウジアラビアが対応しているフーシ派の段階的縮小提案が、明らかにイランが、フーシ派を代弁したり、イエメン国民の最大利益を心にかけたりしていないことを示している」とフックは述べた。「イランは力を誇示するために、イエメン内戦を引き延ばそうとしている。イランは自国民の要求に従って、イエメンでの関与を終わらせるべきだ。」

9月のウォールストリート・ジャーナル論説で、彼がフーシ派をイラン代理勢力だと描写したものと比較して、フーシ派の段階的縮小提案を称賛するフック発言は対照的だ。彼はさらに、イランとフーシ派の関係を「戦略的提携」と特徴づけた。

 フーシ派も、レバノンのヒズボラも、イラン支配下にあるわけではない。これら集団は彼ら自身の権益のために自身で決定する独立政治組織だ。彼らが必要時に、イランを助けるように、イランは緊急時に、それら集団に手を貸すのだ。イランがイエメンの戦争を延長しようとしているというフックの主張には何の根拠もない。

 サウジアラビアが彼らに対して行った五年の戦争の間、イランはずっとフーシ派が抵抗するのを可能にしてきた。イランがフーシ派に提供した無人飛行機やミサイル部品が、彼らがサウジアラビアに和平を主張するよう強制するのを可能にしたのだ。だから、フーシ派がイランから自身を切り離すことは到底ありそうにない。もしサウジアラビアがイエメンに対する彼らの攻撃を終わらせ、彼らの戦争が起こした損害に対して補償すれば、彼らはサウジアラビアに対する攻撃を終わらせることに同意するだろう。サウジアラビアが、それに同意しなければ、更に多くの彼らのヘリコプターが炎に包まれて墜落し、更なる彼らの石油設備が燃えあがるだろう。

 イエメンに対する戦争はサウジアラビア防衛大臣だったムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が始めたものだ。彼は速い勝利を期待していたが、十分に装備されたサウジアラビア軍は、北イエメンの山で裸足のフーシ派を破る能力がないことがばれた。戦争はサウジアラビアに、一月何十億ドルも費用がかかり、国家が破壊するおそれがあった。

 ムハンマド・ビン・サルマーンの他のプロジェクトも決してうまく行かなかった。彼はサウジ・アラムコ株を国際株式取引所で、二兆ドルの総評価額で売ることを計画していた。この動きは、サウジアラビア経済を工業化するための資金調達で、1000億ドルをもたらすはずだった。長く遅れた後、サウジ・アラムコは、ようやく最終的に新規公開しようとしている。株は12月11日に取り引きが開始の予定だ。だが株はサウジ証券取引所(タダウル)でしか上場されまい。

 当初の公募価格は、同社の価値を、国際的な銀行が発表していた1.5兆ドルという推計より高い1.7兆ドルとしていた。今日サウジアラビアは、世界石油価格と同社評価を上げるため、石油生産の大幅削減を発表した。それは緊急に必要な、より多くの買い手を新規株式公開に引き付けるかもしれない。だが株は、必要とあらば多少の圧力もかけて、主に国内機関に売られるだろう。外国からの新たな資金1000億ドルを引き付けるのではなく、右ポケットにつぎ込むため、サウジアラビアのズボンの左ポケットから約256億ドルが取り出されるだろう。サウジアラビアにとっての経済効果は疑わしい。

二年半前に、皇太子はカタールを攻撃し、占領しようとした。イデオロギー的な理由は、ムスリム同胞団に対するカタールの支持だった。だが本当の理由は、MbSが不動産と資源奪取を通して増やそうとしたサウジアラビアに必要なより多くの金だった。トルコ軍がカタール支援に来て、プロジェクトは失敗した。そこでサウジアラビアと同盟国UAEは通商停止でカタールを孤立させようとした。それも失敗したが、サウジアラビア支配者にとって更なる頭痛の種となり、それが彼らが必死に紛争を終わらせようとしている理由だ。

二年以上たった今、経済的、政治的破綻の徴候が、カタールではなく、禁輸措置をとっている両隣国で現れ始めている。これらの現れが、ドーハでのガルフ・カップ参加の決議や、論争を終わらせる新たな受け入れ姿勢をサウジアラビアと首長国当局が同時に発言していることを含め、両国の最近の和解姿勢を説明するのに役立つかもしれない。
バレル当たり100ドル以上から、30ドル以下まで価格が急落した2014年の石油暴落以来、全ての湾岸協力会議国は、彼らの石油を基本とする経済に対し、苦痛を伴う根本的改革に着手して、巨大な赤字予算を穴埋めしようと努めた。
偶然、湾岸協力会議加盟諸国の中で不人気な施策を最も激しく実施したのは封鎖を実行中の国なのに対し、クウェートとオマーンとカタールは付加価値税や他の構造改革導入を延期した。

 サウジアラビア支配者は、自国民がカタールを指して、福祉の強化や、より低い税金を要求するのを恐れている。カタールを含め全ての湾岸協力会議国が、サウジアラビアがとらなければならないのと同じ措置をとるのに同意すれば、反乱の可能性は減るだろう。

 カタール外務大臣が最近リヤドを「秘密」訪問し、サウジアラビア国王はカタール首長を次の湾岸協力会議に招待した。だがサウジアラビアには10%の赤字があるが、カタールは黒字財政だ。カタールは他の湾岸協力会議諸国の経済政策に従う必要がない。もしサウジアラビアが、そのために何かを提供することをいとわない場合にだけ、カタールはそうするだろう。

 皇太子の大プロジェクトが三つ失敗した。おまけに、MbSの命令によるジャマル・カショギ殺人が起こした評判への打撃がある。今、サウジアラビア国王が、全体的な打撃を制限する処置をとったのは、ムハンマド・ビン・サルマンの弟ハリード・ビン・サルマンの影響で起きているのかもしれない。Kbは駐アメリカ・サウジアラビア大使だった。2019年2月以来、彼はサウジアラビア国防次官で、彼はフーシ派との協議に関与していた。国王は、最終的に、MbSは仕事にふさわしくなく、兄のモハンマドより、ハリードの方が、王位の良い後継者かも知れないとを認識する可能性がある。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2019/12/saudi-arabia-retreats-from-the-troubles-its-clown-prince-caused.html#more

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 支配者、多少まともならなら、主君押込やら「座敷牢」やら、何らかの対策をとるのだろう。傀儡支配者、支配機構全てが劣化すると、ウソにウソを塗り重ねて平然と生き延びる。宗主国はリモコンで、利益さえあがれば手は出さない。兵器爆買い、FTA。永久敗戦属国。

 孫崎享氏の今日のメルマガ題名は、今日という日にちなむ内容。

『日本国の正体』(外国人の眼)より:米国攻撃の決断は全く合理性に欠け、自殺行為。米国は日本の十倍の工業生産力、チャーチル英国首相「(真珠湾攻撃で)我々は生き延びる。日本人は微塵に砕かれる」。米陸軍長官:如何に日本側に最初の攻撃させるか

 昨日は下記インタビュー再配信を拝見。長州テロリストの理不尽さにあらためて激怒。たとえば品川弥二郎の悪辣さ。長州テロリストによる愚挙の延長が、真珠湾攻撃、敗戦、その結果としての世界最大属国。

【長州偏重政治が今なお日本を呪縛する! シリーズ特集再配信 2・IWJ_Youtube Live】19:00~「『長州レジーム』から日本を取り戻す! 歴史から消された思想家・赤松小三郎の『近代立憲主義構想』を葬った明治維新の闇~ 岩上安身によるインタビュー 第750回 ゲスト 拓殖大学教授 関良基氏 その1(後編)

 その後下記を拝見。鋭い質問と屁理屈回答。目が離せない。高級官僚の皆様ウソをつくため東大を卒業したのだろうか?

安倍首相とジャパンライフの関係は中曽根政権 安倍晋太郎の代から!? ヒアリングでは菅官房長官の会見での発言に辻褄を合わせて官僚が答弁~12.5第12回 総理主催「桜を見る会」追及本部

 今日は上記インタビューの続編再配信を拝見予定。

【長州偏重政治が今なお日本を呪縛する! シリーズ特集再配信 3・IWJ_Youtube Live】20:00~「日本で最初の立憲民主主義思想は現行憲法よりリベラルだった!? 幕末の思想家・赤松小三郎の暗殺に見る『明治礼賛』の虚妄! ~ 岩上安身によるインタビュー 第759回 ゲスト 関良基氏 その2 (前編)」
YouTube視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867
ツイキャス視聴URL(冒頭のみ): http://twitcasting.tv/iwakamiyasumi