寡頭政治による死

Chris Hedges
2019年11月11日
Truthdig

 オリガルヒは、思い上がりと富と権力で目がくらんでいる。彼らは鼻につく特権意識で、最も生ぬるい批判や最も穏やかな改革にさえ憤慨する。連中のごく小さなエリート・サークル外の人々にしていることに対する後悔や罪悪感や共感や深い思いやりが、彼らには欠けている。特権は、人間に対して奇妙で不快なことをするものだ。奨学生として、寄宿制私立進学校で、ハーバード大学で、全てのエリート校同様、金権政治を永続させるよう設計された組織で、金持ちの同級生に私はこうした歪みを見出した。特権を持って暮らすと、幸薄き人々には、無神経さ、残酷さえ生まれ、底なしの貪欲が養われるのだ。

 金持ちの不愉快な特徴は、弁護士や広報係や従順で脅かされているマスコミの軍団や、慈善活動の良い礼儀や隠蔽物に巧みに覆い隠されている。ジェフ・ベゾスジェイミー・ダイモンビル・ゲイツジミー・ウェールズピーター・ティールジョン・マッケイや故スティーブ・ジョブズデイビッド・コッホは、慎重に作り上げられた連中の公的イメージが何であれ、労働者階級にとっての新たな形の農奴制を作り出し、オリガルヒの手に、富と権力を集中するよう設計された経済、社会モデルを擁護しているか、していたのだ。社会が寡頭政治階級による死の支配に陥った場合、結果は常に壊滅的だ。

 オリガルヒは彼らの底なしのナルシシズムと快楽主義を満足させる、こびへつら侍従連中に囲まれた絶縁された暮らしをしているため、空想に基づいて権力を行使する。彼らは新自由主義や、経済的に合理的ではないが、彼らの権利を正当化する、知的にも道徳的にも破綻しているアイン・ランドの著作のような支配イデオロギーを広める。連中のスローガンは、最初、悪名高い連続殺人犯が口にし、ランドが熱狂的に受け入れたものだ。「私にとって良いものは正しい。」 虐げられた一般市民が生き残ろうと苦闘し、増大する激怒と、いらだちで沸き返る中、我々のあらゆる組織、報道機関や司法や立法や行政や学界が、寡頭制支配者の狭い利己的な利益に奉仕するよう悪用されているのだ。過去数十年にわたり支配しているオリガルヒが画策した大企業クーデターが我々にドナルド・トランプを与えたのだ。もしこのクーデターを覆さなければ、遥かに悪いことが続くだろう。

 オリガルヒは彼らの道徳的墜落の結果をほとんど理解できない。体制を自己破壊から救えるバーニー・サンダースやエリザベス・ウォーレンのような政治的改革者は、ウラジミール・レーニンの下で、暴君的ボリシェビキへの道を開いた社会主義革命家アレクサンドル・ケレンスキーメンシェビキをロシア・オリガルヒが悪者にしたのと同じように、悪者にされるのだ。終わりは来るのだが、終わりが来た時、我々の場合、キリスト教ファシストに押しつけられる専制政治になる可能性が高いが、オリガルヒは、革命直前の愚かなフランスやロシアの上流階級のように、連中の宮殿のような邸宅や巨大ヨットでたらふく食べて、知らぬが仏で気付くまい。

 「我々は大規模な世界的、政治的、経済的、社会的、文化的移行の真っ只中にいるが、我々はどの方向に向かっているのかわからない」と『Mean Girl: Ayn Rand and the Culture of Greed』でリサ・ダガンが書いている「保守派福音主義信者が連中の糸を引き、政治家やビジネス・エリートが、ブライトバート・オルタナ右翼で有利な立場を得ようと画策する中、トランプ政権の一貫性のなさは混乱の徴候を示している。これらを統一しているのは無慈悲と貪欲だ、この寄せ集めの精神がアイン・ランドだ。」

 粗悪な精神は極右も極左も堕落させる。対応するファシスト連中と異り、アメリカ合州国の極左は、ごく劣勢で、まとまりが悪く、イデオロギー的に破産した無力な政治勢力だが、粗悪な精神がアンティファやブラック・ブロックの多くを定義し、キリスト教ファシストやオルタナ右翼をも定義する。社会が二極化するにつれ、混乱を止め、益々暴力で表現される増大する憎悪や敵意を静め、民主的規範を救出しようとするサンダースやウォーレンのような改革者や穏健主義者の試みは徒労に帰する。オリガルヒは彼らの呼びかけには答えず、最終的に、権利を奪われた人々は穏健主義者の無力さに忍耐を失う。

 過酷さと法と恐怖によるレーニンの支配は、チェカー(反革命・サボタージュ取締全ロシア非常委員会)が運営する暗殺団によって行われたが、ロシア上流階級とオフラーナ(ロシア帝国内務省警察部警備局)が駆使した無慈悲と恐怖を反映していた。フランス革命の際、1793年9月から1794年7月まで独裁権力を振るった公共の安全のための委員会は、フランス貴族が駆使した無慈悲とテロを反映していた。過激派は政治方針が何であるにせよ、ひとたび権力の座につくと驚くほど酷似している。破綻した民主主義で権力を受け継ぐのは、ほとんど常に過激派だ。

 2016年に、サンダースに民主党指名を与えるのを拒否し、ホワイトハウスにヒラリー・クリントンを送り込むため10億ドル使ったオリガルヒは、大失敗から何も学ばなかった。もし彼らがジョー・バイデンを我々に無理やり押しつけることができなければ、ピート・ブーテジェッジやマイケル・ブルームバーグではどうだろう? 万が一、オリガルヒが阻止しようと躍起になっているウォーレンかサンダースが奇跡的に民主党候補者になったら、彼らはいやいやながらトランプを支持するだろう。トランプは教養がなく、不正で、適性がないかもしれず、彼はアメリカ合州国を国際的のけものに変えたかもしれないが、彼はオリガルヒの金銭的利益に奴隷のように奉仕する。

 オリガルヒとっては、利益を蓄積するためのどんな戦いも小さすぎることはない。シアトル市議会選挙では、世界で最も金持ちの男ベゾスが、彼の関連企業に奉仕させるべく、議会をひっくり返すために150万ドル使った。ベゾスは、昨2018年、連邦所得税を支払わなかったアマゾンや他の企業に、シアトルの11,000人のホームレスに住宅を提供するのを助けるべく課税する議会決定に立腹したのだ。アマゾンはシアトルの税金が一カ月以内に無効にされるようにした。この選挙でベゾスは、彼の天敵で、ありがたいことに再選された社会主義女性議員カシャマ・サワントを標的にして、大企業支持派の議員候補を押した。今回ベゾスは議会の支配を掌握し損ねた。次回の選挙では、彼が投資を三倍か、四倍にするのは確実だ。2016年の選挙には65億ドルかかったが、ハミルトン・ノーランがガーディアンで指摘しているように「4兆ドル以上の連邦予算全体を支配する集団にとって、これは本当の掘り出し物だ」)。

 オリガルヒは監督や規制から自由で、彼らを維持している政治制度と、経済制度を不当に略奪する。彼らは富裕層に対する税を減税し、政府赤字を莫大に増やす。これで資金不足の政府に銀行から借金させ、更にオリガルヒを富ませ、大衆に懲罰的緊縮経済計画を押し付けるよう強いるのだ。彼らは、何十億ドルも儲けるために、公益事業、諜報収集、軍や警察の大部分や、刑務所制度や教育を含め、伝統的な政府事業を民営化する。彼らは個人住宅ローンや学生ローンの高利率を保証する複雑な金融のメカニズムを作る。彼らは不正会計を合法化し、大衆を深刻な借金返済奴隷労働に閉じ込めておくため、賃金を抑制する。彼らの投機バブルが崩壊すると、彼らは税金を何兆ドルも略奪する。

 資本主義者を、生産手段から金を生み出す人々と定義すれば、彼らはもはや資本主義者ではない。彼らは株主を含め、全員から盗むよう法律を書き変え金融投機犯罪階級だ。彼らは産業資本主義の死体から栄養を摂取する寄生虫だ。彼らは何も生み出さない。彼らは何も稼がない。彼らは金を操作する。この賭博体制と、金融資本による政治的権力奪取が、アメリカの最も裕福な1%の家族が、国の富の40%を支配している理由だ。

 JPモルガン・チェースの最高経営責任者で、推定14億ドルの財産を持っているダイモンは大企業の強欲と犯罪のイメージキャラクターだ。彼は2008年金融崩壊前の数年のうちに、JPモルガン・チェースに詐欺的な有価証券を引き受けるよう指示した。彼は住宅ローンと住宅ローンの借り換え取り引きで、軍人に過剰請求した。彼は顧客に当座貸越料に対し過剰請求した。彼はカリフォルニアと中西部電力市場の入札を不正操作した。彼は住宅所有者に洪水保険で過剰請求した。彼は実在しないクレジットカード監視サービスに対し、顧客に請求書を送った。彼は住宅ローンで、少数人種に対して、白人の借り手が支払うよりも高い金利と料金を請求した。彼は社員に超過勤務手当を払い損ねた。そう、JPモルガン・チェースはアメリカ国内ので他のどの金融機関より多くの罰金を支払わなければならなかったが、利益は、同社の詐欺的、犯罪活動を埋め合わせる以上のものだった。

 お仲間のオリガルヒ、ゲイツと、億万長者投資家レオン・クーパーマンと一緒に、最近ウォーレン攻撃を率いたのはダイモンだ。「富裕税」計画と、「成功した人々」をけなしたとされることに対し、ダイモンは彼女を叱責した。アメリカン・ドリームを破壊しようとしたと言って、クーパーマンはウォーレンを非難した。もし彼が富裕税を支払わされることになっても、彼はまだ60億ドルの資産を保有するだろうが、ゲイツも彼女の富裕税計画を非難した。ゲイツは、もしウォーレンが民主党指名候補になったら、彼がトランプを支援するかどうか質問されると、答えるのを拒否した。

 強欲は底なしだ。それは金持ちの病気だ。オリガルヒは、貯めれば貯めるほど、益々多くを欲するのだ。これは人間性の暗い面だ。それは常に人類とともにあった。全ての社会が社会の不平等に悩まされているが、社会ピラミッドの最下層と中位の人々が、彼らの発言権と代表を失った時、社会がもっぱら金持ちの貪欲に奉仕するためにだけに存在する時、収入の不均等がアメリカ合州国で達したレベルに達すると、社会組織はばらばらに引き裂かれ、社会がそれ自身を破壊する。アリストテレスは、ほぼ2,500年前に寡頭政治の危険について警告した。我々は全権力を掌握したオリガルヒが我々に与えた、社会的、政治的崩壊の瀬戸際に立っている。支配するオリガルヒはあらゆる改革の試みを妨害するだろう。これが危機を不可避にする。ひとたび我々がこの危機に入ってしまえば、オリガルヒは最も強力な専制政治推進者にるだろう。

 Chris Hedgesは海外特派員として中米、中東、アフリカとバルカンでほぼ20年過ごした。50以上の国から報道し、15年間海外特派員としてクリスチャン・サイエンスモニター、National Public Radio、ダラス・モーニング・ニューズとニューヨーク・タイムズで働いた。https://www.truthdig.com/author/chris_hedges/

記事原文のurl:https://www.truthdig.com/articles/death-by-oligarchy/

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 強欲で傲慢なオリガルヒ、連中のサイコパス風振る舞いに国境の違いはないようだ。連日の驚くほど稚拙なウソ。

 孫崎享氏の今日のメルマガ題名にびっくり。スパイ暴露で有名になったアメリカ外交官、孫崎享氏の知人だった。誠実さと、寿命とは反比例するのだろうかと、考えたくなる。

旧知ジョゼフ・ウィルソン69歳で死亡。ブッシュ政権はイラクが核兵器開発としてイラク戦争へ。これにWはNYT紙にイラクの核兵器開発はないと寄稿。これにWの妻がCIA工作員と暴露される。Wは元副大統領等を訴え。その後職も不順、妻とも離婚。そして死。

 『長州レジーム』から日本を取り戻す!IWJインタビュー、再配信を復習として見たいと思う。

「桜を見る会」で明らかになった「長州偏重政治」!? 本日午後8時より、「『長州レジーム』から日本を取り戻す! 歴史から消された思想家・赤松小三郎の『近代立憲主義構想』を葬った明治維新の闇~ 岩上安身によるインタビュー 第750回 ゲスト 拓殖大学教授 関良基氏(その1)」を再配信!

 関良基教授『赤松小三郎ともう一つの明治維新』に続き、別のご本を執筆中と伺っている。