反グローバリズムの潮流(オーストリア総選挙、緑の党躍進は形を変えたグローバリズムか)

「金貸しは、国家を相手に金を貸す」さんからの情報です。


 

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1年ほど前にオーストリアで30歳台の若いクルツ首相率いる保守系の国民党と極右政党の自由党が連立政権が誕生したことを伝えました。ところがこの連立政権は短期間で崩壊、内閣不信任案が可決され、総選挙が行われました。そして極右勢力が大敗を喫し、緑の党が躍進する結果となりました。第一党の国民党は緑の党との連立協議を進めているそうです。欧州全体で緑の党の党勢が強まっていますが、これは何を意味しているのでしょうか。まず、オーストリアで内閣不信任案が可決されるに至った経緯ですが、極右政党自由党のシュトラーヒェ党首がロシア新興財閥(オリガルヒ)のめいを名乗る女性に選挙支援の見返りを約束し、協力を持ち掛けた、というスキャンダルがきっかけでした。シュトラーヒェ党首は辞任に追い込まれ、クルツ首相は自由党との連立を解消しましたが、社会民主党が内閣不信任案を提出し可決され、解散総選挙となりました。

反グローバリズム勢力を追い落とすためにロシアスキャンダルをぶつけると言う方法は、アメリカのトランプ大統領と全く同じやり方で、その背後に、グローバリズム勢力の存在を伺わせます。そして、勢力を伸ばしたのが緑の党です。緑の党は環境政党でグローバリズムとは無縁のように見えますが、もともと、地球温暖化説は環境保護を建前に、原子力発電や二酸化炭素排出権取引、環境にやさしい新商品などの、新市場拡大のためにグローバリズム勢力が仕組んだ動きでもあります。そして、生産企業には環境税を課しながら、金融系企業には課さないと言う政策も推進しています。

そして緑の党は環境政党であると同時に、人権尊重の面から、ヨーロッパにおける移民の受け入れを推進している政党でもあります。EU主要国の中で、反EU意識が高まっていく中で、環境問題と人権問題を理由にEUの存続発展を掲げているのも緑の党なのです。

グローバリズムによる経済発展が行き詰る中で、グローバリズムの恩恵を最も享受し、推進してきた金貸し勢力が、グローバリズム存続のための新たな建前として利用し始めたのが環境問題であり、その政治勢力が緑の党なのかもしれません。グローバリズム勢力も弱体化したとはいえ、まだまだ侮れない力を持っているようです。

 

■オーストリア、クルツ氏の政権カムバックは確実? 2019年5月29日

オーストリア国民議会(下院、定数183)で27日午後(現地時間)、クルツ暫定政権への不信任案が賛成多数で可決された。内閣不信任案が可決されたのは同国議会では戦後初めて。不信任案は最大野党、社会民主党が提出し、クルツ政権の連立パートナーだった極右自由党と野党「イエッツト」が支持したことで、可決された。

中道右派「国民党」(党首・クルツ首相)と極右自由党(党首シュトラーヒェ副首相)から成るクルツ連立政権は2017年12月発足したが、シュトラーヒェ副首相の“イビザ島スキャンダル”が今月17日に発覚し、同氏は翌日(18日)、副首相と党首を辞任。その直後、クルツ首相は、自由党との連立を解消して、9月に早期総選挙の実施を表明、それまで自由党が占めていた閣僚ポストを専門家に委ねる暫定政権を発足させたばかりだ。暫定政権は1週間余りの超短命政権となった。

暫定政権が倒れたことで、バン・デア・ベレン大統領が9月の選挙まで新たな暫定首相を任命し、暫定政権を発足させることになる。

■欧州極右にロシアの影 オーストリア連立政権崩壊で露呈2019年6月8日

世界最年少で首相に就任したオーストリアのセバスチャン・クルツ氏(32)が先月末、わずか一年半余りで退陣に追い込まれた。引き金は連立を組んでいた極右政党トップの便宜供与疑惑。欧州で極右政党が台頭する中、専門家はロシアと深いつながりを持つ極右との連立が欧州連合(EU)の分断を招く恐れがあるとして、危うさを指摘する。

「すべての公共工事を手に入れられる」。オーストリアの総選挙を三カ月後に控えた二〇一七年七月、スペインのリゾート地イビサ島。極右、自由党の党首だったシュトラッヘ氏は、ロシア新興財閥(オリガルヒ)のめいを名乗る女性に選挙支援の見返りを約束し、協力を持ち掛けた。

この隠し撮り映像を入手したドイツのメディアが五月十七日に疑惑を報道。シュトラッヘ氏は翌日、副首相と党首を辞任した。自由党と連立を組んでいた中道右派、国民党のクルツ首相は連立を解消。反発した自由党が全閣僚を引き揚げたため政局が混乱し、二十七日にクルツ内閣の不信任案が可決された。

親ロの欧州極右に共通するのはプーチン氏を支持し、EUによる対ロ制裁の解除に前向きな点だ。極右に接近するロシア側にも欧州の分断を図り、「制裁包囲網」を打ち破る思惑があるとみられている。オーストリアの極右連立は欧州各国から警戒感を持って注視されていた。ドイツの政治学者、アルブレヒト・フォンルッケ氏は「極右政党の反民主主義的な姿勢が明らかになった。プーチン氏とつながる極右は欧州にとって危険だ。彼らはEUを弱体化させ、統合を阻止しようとしている」と警鐘を鳴らす。

■前首相勝利、返り咲きへ=極右は大敗-オーストリア総選挙2019年9月30日

オーストリアで29日、国民議会(下院、定数183)解散を受けた総選挙が行われ、第1党の中道右派・国民党が勝利を確実にした。内閣不信任で辞任した33歳のクルツ前首相が、難局を克服して返り咲くことになりそうだ。一方、前政権の連立与党で、不祥事によって政権を崩壊させた極右・自由党は大敗した。勢いが目立つ極右政党の一つだった自由党の失速は、欧州各国のポピュリズム(大衆迎合)政党にとっても手痛い結果だ。

クルツ氏が自由党との連立を継続するかは不透明。親ロシアの同党と再び手を組むかは「西欧とロシアの橋渡し役」を担ってきたオーストリアの外交政策に影響を与える可能性もある。

■オーストリア総選挙、クルツ首相が圧勝も連立は難航か2019年10月11日

オーストリア議会の総議席数は183議席で、クルツ国民党は大勝したものの71議席を獲得したに過ぎず、過半数の92議席に足りない。これからクルツ党首は連立工作にかかるが、連立政権作りは容易ではない。議会の過半数を確保するための連立相手の候補は、社民党、自由党、緑の党の3党である。

小さな政府、ネオリベラルな経済政策を唱えるクルツ国民党は、大きな政府のもと社会福祉充実を進めようとする社民党とは政策が著しく異なり、クルツが、党首就任後同党との大連立を解消したのもこのためであった。

政策的に近いのが自由党であるが、前党首シュトラッへのスキャンダル勃発後も、シュトラッへ前党首による党資金の私的流用などの不正が発覚し、シュトラッへ前党首は政界を引退した。このため、同党は党の再建を最優先とする方針で、仮に国民党から連立の申し出があっても、断る方針で党の大勢が一致している。

緑の党との連立を考えるうえでの、最大の障害は難民受け入れ問題である。クルツ党首は、難民受け入れ問題につき極めて慎重で、難民の大量流入を防ごうとしている。一方、緑の党は人道的立場から難民の受け入れに前向きの姿勢をとっている。

■欧州の政治潮流がわかるオーストリア総選挙 2019年10月17日

9月29日、オーストリアで総選挙が実施され、これまで中道右派の国民党と連立を組んでいた極右の自由党が大敗を喫した。今回の総選挙の特色は、第一に中道右派の勝利である。中道右派の国民党は前回の2017年の選挙の得票率32%を上回る37.5%を獲得し、前回より9議席多い71議席を獲得した。

極右は惨敗した。自由党の大敗の直接の原因はスキャンダルであろうが、得票率は16.2%と前回の26%を大きく割り込み、議席数も前回より12少なく40議席と大きく減った。

もう一つの特色は緑の党の躍進である。緑の党は総選挙では13.8%の得票を獲得し、議会で初めて26議席を獲得した。5月に行われた欧州議会選挙でも「緑の党」系の環境政党の躍進が目立った。第三の特色は、中道左派の退潮である。今回、2位の社会民主党は22%しか得票できなかった。

オーストリアは大国ではないが欧州の政治のバロメーター的な側面を持っている。今回の総選挙での極右の敗退、緑の党の躍進、中道左派の退潮は、いずれも最近の欧州政治に見られる特徴を表している(極右がこのまま力を失っていくと決めつけるのは尚早だろうが)。

■オーストリア 、クルツ前首相の国民党と「緑の党」が連立交渉へ2019年11月12日

オーストリアで国民議会(定数183)の早期総選挙が9月29日に実施されてから43日が経過したが、クルツ前首相が率いる中道右派「国民党」と第4政党「緑の党」との連立交渉が11日、正式に開始される運びとなった。

クルツ氏は大きな課題が控えている、第1次政権でのパートナーだった自由党とは、政策的には似ており、特に移民、難民対策では一致してきたが、「緑の党」は難民移民の受け入れを掲げる政党だ。クルツ党首が「緑の党」の要求に譲歩し、厳格な難民政策を緩めるようなことがあれば、クルツ党首を支持してきた保守層が離れていく危険性がある。「緑の党」は環境にやさしい税改革を主張し、CO2税のような企業側への税導入を考えている。