オスマントルコの金づちとイスラエルの金床にはさまれたシリア

エリアス・サモ
2019年10月6日
Strategic Culture Foundation

 シリアは、北のオスマントルコというハンマーと南のイスラエルという金床にはさまれて、居心地悪く、傷つきやすい。両方の強国が敵対的で、拡張主義で、シリアの領域を占拠している。シリア側でシリア-トルコ国境に沿った「安全地帯」について考える際、アメリカ-メキシコ国境を思い出させられる。両方の国境は、よく似た治安情勢に直面している。ある国が、隣接する国から生じる保安上の脅威に直面しているのだ。

 アメリカ-メキシコ国境は、長い間、軽蔑的に「ウェットバック=濡れた背中」として知られている中南米からの不法入国者流入のおかげで、ワシントンにとって安全保障上の関心事の原因だった。合衆国に向かってリオグランデ川を渡る際に濡れるための呼び方だ。そのような地帯に、国境警備のために、国際法とメキシコの独立と領土保全を侵害して、アメリカ軍が占拠し、支配しなければならないので、トランプは国境のメキシコ側に「安全地帯」を確立することは考えなかった。その代わり、トランプは保安上の脅威を軽減するため、国境のアメリカ側に壁を作ることに決めた。

 同様に、エルドアンはシリア-トルコ国境のシリア側に、彼がテロリストだと見なす、トルコの国家安全保障に対する脅威の反トルコの武装クルド人が集中しているのを知っている。だが彼は、クルドの脅威に対処するのに壁が十分だとは思わない。彼は、皮肉にもトランプの祝福とパートナーシップを得て、ユーフラテスの東、イラク国境まで、国境のシリア側で、国際法とシリアの主権と領土保全に違反する、長さ400キロで、今のところ幅は未定の「安全地帯」を設立することに決めた。シリアの地帯にトルコ軍隊を置くというエルドアンの固執は軍事占領だ。シリア-トルコ国境の残りの部分をカバーするユーフラテスの西における類似のプロセスは、エルドアンによれば、最終的に長さ800キロの「オスマントルコのベルト」を完成することになるはずだ。

 エルドアンは地帯を確立して、トルコ軍を現地に配備すると固く決めて、待ちきれないのだ。最近イスタンブールでの演説で、彼は数週間のうちに言う「我々は我々の完全な国境、ユーフラテスの東に沿って確立する安全地帯に関し、多くの時間も、忍耐力もない。もし我々の兵士がその地帯の実際の支配を開始しなければ、我々は計画を実行する以外の選択肢はないだろう。」 壁より地帯を選択するエルドアンは、エルドアンの本当の究極の意図と、計画に関する重大な疑問を引き起こす。もしそれが壁でないなら、それは安全保障ではない。もしそれが地帯なら、それは北キプロスの前例に似た占領だ。

 エルドアンは安全地帯の設立に、三つの目的がある。二つは、宣言された短期的なもので、三つ目は、宣言されていない長期的なものだ。一つ目の目的は安全保障だ。地域からの武装クルド人集団の撤退で、始まっているように思われるプロセスだ。二番目の目的は、トルコに本拠をおくシリア難民を、この地域に再定住させることだ。三番目の陰険な目的は、第一次世界大戦の終わりまで、オスマントルコが400年間占拠していたシリア領を取り戻すことだ。800キロのシリア-トルコ国境は、サイクス- ピコ合意に基づいており、第一次世界大戦とオスマン帝国崩壊の後に描かれたものであることを指摘するべきだ。それは歴史的なものでも、自然な国境でもない。国境のかなりの部分は、二つの対立するイスラム国家間の国境となるよう、ドイツのキリスト教徒が築いたオリエント急行鉄道で、いずれの国が好んだものでもないのだ。

 エルドアンは三つの目的を実施するため、諸大国に対処するのに、二重の戦略を使っている。ヨーロッパに対しては恫喝だ。彼はヨーロッパの支持を得るか、さもなくばヨーロッパに何十万という難民の送付を促進するだろう。ワシントンとモスクワに対しては、「愛人」だ。私は1990年代初期の、イスラエル-パレスチナ和平交渉と、イスラエル-シリア和平交渉を思い出す。イスラエルが一方で思いどおりにできない場合は常に、彼らはもう一つの方に立ち戻るのをほのめかすのだ。ワシントンとモスクワに対するエルドアンにとっても、あてはまるのだ。

 南シリアについては、ネタニヤフとエルドアンは明らかに敵対者のように見えるが、彼らは実際は、強要して、シリア領を占拠する目的を共有しているのだ。彼らは目的を追求する上で、両国とも、疑わしい歴史的な主張と、シリアとトルコとイスラエル間の武力の差異に頼っている。疑わしい歴史的主張とトランプの許可を元にした、ネタニヤフによる占領中のゴラン高原併合は、彼の仰々しい公開抗議にもかかわらず、エルドアンにとって、好ましくないわけではないのだ。オスマントルコは400年間シリアを占拠していたし、ネタニヤフはゴラン高原は歴史的にイスラエルに属すると主張している。トルコ、イスラエル両国とも、自分たちのものだったと信じる地域の一部を「取り戻した」。トルコは1939年にシリアのアレクサンドレッタ地区を「取り戻し」、イスラエルは1967年戦争で、シリアのゴラン高原の3分の2を「取り戻した」のだから、両国は、もっと「取り戻」そうと望むはずだと考えたくもなる。

 古いアラブの格言がある。「ラクダがテントに鼻を突っ込んだら、すかさず鞭で打て」。トルコの戦車と兵士が北シリアにいる。イスラエル軍と入植地がゴランにある。究極の運命のいたずらは、永遠の文明のゆりかごで、三つの一神教発祥の地シリアが、オスマントルコとイスラエル帝国の獲物になっているのだ。なんという戯画。裏切り行為。だが留意されたい。シリアはいいなりになるカモではなく、ひとりぼっちでもない。

 エリアス・サモは博士で、アメリカとシリアの大学の国際関係教授

個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2019/10/06/syria-between-ottoman-hammer-and-judaic-anvil/

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 トランプ大統領、トルコによるクルド攻撃を黙認という報道があり、訪米し、詳細を会談するというエルドアン大統領発言もある。

 「Adobeがベネズエラの全アカウント停止を決定、大統領令に基づくもので返金はなし」というニュースを見た。画像には無関係なので、無縁だが、ソフトは、クラウド・サービスではなく、購入、インストールが最善と確信した。

 昨日のアクセス数、通常の倍。滅多にないこと。誰か、何かの組織がブログ全データをダウンロードすれば、そうした膨大なアクセスになる。何を狙っているのだろう。

 改憲にこだわる理由は 祖父の遺志継ぐもの のような言い方があるが、単に宗主国から、早くお前の国民の血を差し出せと、せっつかれているからにすぎまい。「宗主国に、国民の血を差し出せと、せっつかれているため」という本当の理由では余りに聞こえが悪いので、聞こえが多少とも良いような口実を言い立てているにすぎまい。「国民から自民党を守る会」の奇妙な動きも、道化師の滑稽な動きではなく、醜悪な日本の憲法をつくる売国奴、宗主国・傀儡連中による改憲策謀の一環だろう。

日刊IWJガイド「N国・立花孝志党首が参議院議員を辞職して参院埼玉補選に立候補を表明! 参院での2議席目を狙い、改憲勢力のキャスティングボートを狙う!?」2019.10.9日号~No.2582号~(2019.10.9 8時00分)