カラー革命香港に到来

2019年9月11日
サウス・フロント・チーム執筆制作:J.ホーク、ダニエルDeiss、エドウィン・ワトソン
サウス・フロント

 香港抗議行動は、長引く性格と、高いレベルの組織化という両方の点で、2013/14年のキエフ・マイダンに似ており、香港の官憲のみならず、北京にとっても大難題になっている。香港の反政府派は、接近戦闘士や投擲兵器闘士や種々な支援役など役割分担を詳細に記述する本物の市街戦マニュアルまで作り出し、広めさえしている。彼らの「プランA」は、かなり身勝手に響くかもしれないが、現地警察に、反政府派に対して小銃を使用させて惨事を引き起こすよう挑発することのように思われる。これまでの所、これは起きなかった。一方で、香港警察はかなりの自制を示しており、警察の交戦規則は、優勢な人数の反政府派に直面した場合には、撤退と離脱を優先しているように思われる。他方、反政府派の計画者の意志にかかわらず、実際の反政府派連中も、これまでのところ、健全な自己保存本能を示している。香港警察が小銃を振り回した少数の事例は、通常、彼らが激怒した反政府派に囲まれることになった警官の事例で、武器の姿は、反政府派を撤退するよう強制するのに十分だった。しかしながら「プランB」もあるように思われるので、それだけでは暴動問題を解決できないだろう。例えば、キエフ・マイダンは、主にマイダン広場に閉じ込められていたのに対し、香港暴動の範囲はずっと大規模で予想できない。香港の反政府派は、航空運輸の大規模崩壊を起こした今や悪名が高い香港国際空港占領を含め、戦略上のインフラ攻撃をためらわない。香港中いたる所の人気が高いモールや観光地での暴力的な暴動は観光を不振にし、資本逃避の不安さえ呼び起こす効果がある。これまでのところ、飛び領土の経済に対する永続的影響の様相はないが、これは不穏状態は一時的な現象だという、なかなか消えない認識のおかげだ。もしそれが現在の激しさで続いたり、もっと酷く、参加者の人数や使われる手段がエスカレートしたりすれば、深刻な悪影響があるだろう。これらの理由で、中国当局は消耗戦によって勝つとか、暴力のエスカレーションで、何らかの形でこの問題を癒せると期待することはできない。これらの抗議行動を通して見えている香港の根本的な問題があるのだ。

何が香港を悩ませているのか?

 他の「カラー革命」と同様、香港抗議は市民に内在する不満の深部をうまく活用しているのだ。この場合、貧困や腐敗、あるいは香港政府の制度設計ではなく、平均的な香港住民が直面している平凡な問題は、大いに目立つ階級分裂と組み合わさった、極めて高い生活費だ。中華人民共和国のこの「特別行政区」は金融業の主要な集中場所なので、下方にトリクルダウンするようには思えない膨大な富の所在地でもある。中国本土では億万長者のリストが着実に拡大しており、かなりの富の不均等があるが、中国のそれほど裕福ではない都市住民は、より良い機会を求めて都市から都市へと移住する選択肢がある。だがその選択は香港の平均的住民が採用する可能性が高いものではない。中国本土に引っ越すことは香港人の強力なアイデンティティーに反するし、世界の中でも、さほど裕福ではない地域への移動になるだろう。平均的な中国市民が、特別行政区の抗議行動参加者の苦境に、大きな同情を示すことはありそうもないが、香港住民は、彼らの幸福を、中国本土と比較しては評価しない。彼らにとって、唯一の適切な基準は香港自身なのだ。

 香港抗議行動の暴力分子は、不釣り合いなほど、10代後期と20代の若者で構成されており、これは世代間のギャップの影響力と、世代間の社会的契約の崩壊を示唆していることを指摘すべきだ。香港がもし主権国家なら、世界最高平均寿命の国の一つになるが、住民はこれまで数十年の低い出生率のため急速に高齢化している。大きな年齢群が退職年齢に近付いており、かなり少人数の若い世代に重い財政負担をかけている。

天安門に恋い焦がれる

 さらに北京にとって問題を複雑にしているのは、次第にエスカレートする東西間対立で、香港を手段として使おうとする欧米列強、主にアメリカの関心だ。外国の聴衆に対する反政府派の認識は、アメリカ国旗と、イギリス植民地という香港の過去と結び付けられる旗を掲げていることで明らかだ。アメリカの見地から、経済的に香港に障害を与えることは中国経済に重大な損害を与え、中国の政治的イメージを大きく損なうことになる。完全に予想通り、欧米政府とメディアは、彼らの狙いが、保安部隊を刺激して抗議デモ参加者の血を流させることであることを、はばかることなく認めている香港都市戦士の増大する暴力を見てみない振りをしながら、抗議活動を心から支持している。どのような欧米による対応が続くか予測するのは難しくない。香港当局者、金融機関、おそらく中国幹部さえの制裁。メディアの叫び声は非常に大きくなり、これまで、反ファーウェイの流れに乗ることを好まなかった国々は、その立場を維持するのが難しくなるだろう。トランプ政権は、アメリカと中国の間の絆を断ち切り、第三国、特に欧州連合の諸国に、アメリカとの継続的な経済統合か、中国か、いずれかの選択を強いるため、できるだけ多くの口実がほしくてしかたがないのは明白だ。さらに過去数十年、香港金融機関は中国の経済目的を推進する上で重要な役割を演じてきた。財政投資の主要供給元の役割に加えて、彼らは中国の「市場の見えざる手」でもある。現在、香港自身からわずかしか離れていない深センのような「経済特区」のおかげで、中国経済は香港には、さほど依存していないが、香港での大きな危機は、中国全体に反響するだろう。

 幸い、キエフ・マイダンと香港抗議行動の間には、重要な相違、つまりオリガルヒ、裕福な巨大な政治力を持ったひと握りの集団、反動的政策を追求するオリガルヒが欠如しているように思われる。香港・ビジネスエリートの誰も、反政府派の一層急進的な狙いを支持する兆候を示しておらず、同様に欧米外交官や諜報機関と彼らのつながりの証拠もない。このような接触を、中国の防諜機関が見落としたり、似たような状況でウクライナのヤヌコーヴィッチ大統領が見せて、悔しいことになった臆病さを、中国政治的指導部が見せたりすることはありそうにない。

一つの国、一つの制度?

 不幸にして、現在の「一国二制度」パラダイムが現在の香港問題の核心にある。まぎれもない中国内の境界のにおける、労働移動性がほとんどない経済の飛び地の設立が香港を政治的圧力鍋に変えた。香港の政治的自治が、経済エリートに有利な政策を生み、富の不均等の増大を起こし、現地政府が、ひどく不人気になり、それは北京自身の責任となるまでに至ったのだ。短期的に、おそらく北京は社会的圧力を和らげるため、香港にかなりの財源をつぎ込むことを強いられるだろう。だが、より長期的には、永続的解決には、香港の社会政策の徹底的な監督だけでなく、中国本土と香港間、双方向の移住促進も必要になるだろう。

記事原文のurl:https://southfront.org/color-revolution-comes-to-hong-kong/

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 サウス・フロントの、この記事に対するコメント欄には、香港の有名な活動家Joshua Wong(黄之鋒)が、ホワイト・ヘルメットのトップ、ラエド・サレー、キエフ市長ヴィタリー・クリチコ、亡命イラン人の活動家ミナ・アハディと一緒に写っている写真がある。驚くべきことではないけれど。

 香港問題はあおっても、大本営広報部、アサンジやスノーデンについては、決してまともに報じない。

日刊IWJガイド・土曜版「本日午後8時より『米国NSAによる無差別大量監視の被害者でありながら共犯者!? メディアがろくに報じない日本政府の歪んだ対米従属!! スノーデン・ファイルを読み解く〜岩上安身によるジャーナリスト・小笠原みどり氏インタビュー』を冒頭のみオープン、その後は会員限定配信で録画配信いたします!」2019.9.14日号~No.2557号~(2019.9.14 8時00分)