アメリカのオペレーティング・システム独占を粉砕しかねないトランプのファーウェイ攻撃

ティム・カービー
2019年5月24日
Strategic Culture Foundation

 自分に対して不利になり始めるまでは、誰でも自由市場を愛する。グローバル化された世界では、自由市場は、ひどく課税され、費用がかかる労働を使うアメリカ企業を、経費の安い中国と戦わせるので、この経済哲学が「再びアメリカを偉大にする」のに邪魔だと言う。だが、保護貿易主義の動き、特にファーウェイに対するトランプの攻撃の結果は裏目に出かねない。

 そこで、自由市場の原則と、アメリカの偉大さとの間の戦いで、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、後者を選び、中国の通信/家電大手ファーウェイを「許可なしでアメリカ輸出業者から部品を輸入することを禁じられた外国企業」要注意企業リストに載せた。これで、グーグルがファーウェイへの、Androidモバイル機器オペレーティング・システム(OS)提供を停止したが、それは確かに、世界第一位の携帯電話メーカーの座に向かう取り組みにとって致命的打撃になるはずだ。

 表面上、これは、多くのユーザーと互換性の高いオペレーティング・システムに対する需要のおかげで生み出される「自然」独占のおかげで、トランプとアメリカの事業にとって明らかな勝利のように思われる。当然どの新OSも、ユーザーは少なく、互換性が低く、この市場への参入はほとんど不可能になるはずだ。しかもコンピュータやモバイル機器のためのオペレーティング・システム開発は容易な課題ではなく、本当に大規模な組織にしか実現できないのだ。

 デスクトップ・オペレーティング・システムの市場占有率に関しては、Windowsがほぼ80%で一位で、Mac OSは約15%で、グーグルのクロームOSは、やっと1%を越えている。モバイル機器では、Androidが市場の約70%を持っており、アップルのiOSはほぼ29%、見捨てられたウィンドウズ・フォンは1%以下だ。ニッチなユーザー向けの、いくつか非常に少数のオペレーティング・システムを除けば、この二つの市場は、いずれも似たように見える。大多数の消費者に使われている一つの巨大システムに、アップルの強固なエリートの二位が続き、それ以外が、ずっと大差で第三位なのだ。アップルは、同社のOSを自身の製品しか使用させないので、これは実質的に、マイクロソフトがデスクトップを独占していることを意味し、グーグルが携帯電話市場を独占しているのを指摘するのは重要だ。さらに、上に述べた全企業がアメリカ企業なのだから、OSゲームでは、アメリカが完全に全体を支配していることを意味している。

 もし中国やロシアやほかの場所で携帯電話を製造したいと望むなら、Androidを使わなくてはならず、そうしなければ、ユーザーにとって使えるアプリケーションやコンテンツがごくわずかしかなく、その会社の機種は売れなくなる。この状況はアメリカにとっては非常にありがたく、アメリカ人は現在我々の全ての生活に影響を与えているこの産業における大成功を誇りに思うべきだ。だが、トランプがこうしたこと全てに首を突っ込むのは素晴らしい考えかどうかというのが問題なのだ。ファーウェイに対するこの攻撃は、実際どのような結果をもたらすだろうか?

 OSなしで携帯電話を製造する企業は、雌牛がない酪農場のようなものだ。もしトランプの欲望がファーウェイの意志を挫き、彼らがあまりにも大きくなるのを阻止することであれば、それは「任務完了」で、大統領にとっての勝利だ。ファーウェイは、多数の犯罪と、国境を越えて影響を与えるべく、余りにもしっかりと中国政府と協力しているかどで既に非難されている。「アメリカ合州国を再び偉大にする」の一環には、アメリカに対する海外大国の影響力をしっかり制限しておくことがある。だから、ファーウェイを要注意企業リストに載せることで、赤の脅威を取り除くという意味で、トランプは彼を大統領にすべく投票した人々の願望に奉仕しているのだ。

 だが、この動きは大規模反撃を引き起こしかねない。現時点で、21世紀にオペレーティング・システム開発に本気で取り組む唯一の企業はマイクロソフトとグーグルとアップルだけだ。これら全ての巨大企業は、もしそうする資金と指導力さえ与えられれば、理論上、自国で競合OSを開発しようとすることができる才能を持った、大いに称賛された中国人やロシア人プログラマーを使っている。

 数日前までは、Androidを使うため、世界中が喜んでグーグルに金を支払っているように思われた。巨大なプラットホームと競争しようとするのは愚かで、それを使う権利を買うほうが、ずっと安上がりだ。だがトランプがファーウェイの顔を平手打ちし、他の非欧米製造業者をびびらせてくれたおかげで、ワシントンの気まぐれに拘束されない新しいOSへの需要が起きたのだ。

 この好例は、スウィフトから切り離すと脅迫された後の、ロシアによるMIR取り引きシステム開発だ。ロシアはまだスウィフト利用を阻止されてはいないが、ロシアは今、完全にそれなしで生きてゆけ、国外でMIRを使うよう要求しさえするほど大胆だ。脅迫されるまで、ロシアは、金銭取り引きをするために、欧米に喜んで金を支払っていたが、いったん窮地に追い込まれるや否や、いつもはのろい官僚的な熊は、非常に速く動き始めた。もしロシアに対して、何の恫喝もされなかったら、彼らは今後何世代にもわたりビザ/マスターカードの支配下にいたはずだ。波風を立てない方が良いことが時にはあるのだ。

 アメリカのための、ファーウェイに対するトランプの攻撃は、理論上、気高く、短期的には、おそらく多分成功するだろうが、長期的には、携帯電話を製造する世界の家臣連中に、OSの支配者に支払うのをやめて、新しいOSを捜し始めたり、自身のOSを開発しようとしたりさせかねない。OSを構築し、それを普及させるのは非常に困難な偉業であることは疑いようもないが、それも、ファーウェイと現在の中国が相当に強力で、課題を実現することが可能かもしれないことに気付かなければの話だ。

 アメリカによるオペレーティング・システム独占の打破は「アメリカ合州国を再び偉大にする」ことにはならないから、トランプは彼の動きが裏目に出ないよう祈るべきだ。

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2019/05/24/trumps-attack-on-huawei-could-shatter-us-monopoly-on-operating-systems/

———

 『五十嵐仁の転成仁語』で、「幇間外交」という言葉を知った。これから使わせていただこう。

5月30日(木)「私益」のために「国益」を売り渡した安倍「幇間外交」のおぞましさ

 宗主国は「砲艦外交」、属国は「幇間外交」。

日刊IWJガイド「本日午後2時半より、米国によるファーウェイ排除と日本の対米追従問題や話題の『MMT理論』について、岩上安身による中国通のエコノミスト・田代秀敏氏インタビューを配信!」 2019.5.31日号~No.2451号~(2019.5.31 8時00分)

 こちらも拝見しなければ。(記事のごく一部のコピー。全文は上記でお読みください。)

森友学園への国有地売却価格を一時非開示とした国の処分は違法! 木村真・豊中市議が大阪地裁に提訴した訴訟で、同地裁は国に賠償を命じる! /籠池夫妻や相澤冬樹氏らが登壇した5月24日の「森友シンポジウム」の録画も、ぜひご覧ください!

 「森友シンポジウム」には、籠池夫妻の他に、元NHK記者で大阪日日新聞論説委員の相澤冬樹氏、環境ジャーナリストの青木泰氏らも登壇しました。IWJが中継した「森友シンポジウム」の録画は、ぜひ、以下のURLよりご覧ください!

※8億値引きの根拠崩壊!? 籠池泰典氏「ゴミはなかった」!「逆らった人間の後頭部を銃で撃ち抜く」安倍政権の本性!「緊急事態条項とんでもない」改憲にも言及!~5.24森友シンポジウム 2019.5.24
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/449334