反グローバリズムの潮流(フランス「黄色いベスト」暴動で、揺らぐマクロン政権)

「金貸しは、国家を相手に金を貸す」さんからの情報です。


 

 

K10011734271_1812041702_1812041704_01_02

反グローバリズムの潮流(フランスのマクロン大統領もガタガタ)でフランスのマクロン大統領の支持率がどんどん落ちて国民の反感を買ていることをお伝えしましたが、とうとう国民の我慢も限界に達したようです。11月17日に始まった「黄色いベスト」運動、今やフランス全土を巻き込む暴動へと拡大し、マクロン政権は窮地に陥っています。政権発足当初66%だったマクロン氏の支持率はとうとう23%にまで低下。直接的なきっかけは、軽油(ディーゼル車)の増税ですが、なぜここまで問題が大きくなったのでしょうか。

ここまで問題が大きくなる背景には、マクロン政権が「富裕層優遇」の政策を強引かつ早急に進めてきたことにあります。企業の解雇手続きの簡素化や不当解雇補償額の上限設定などの労働市場改革を断行。予算編成でも、法人税率の段階的な引き下げ、金融資産にかかわる富裕税の廃止、投資やイノベーションの促進、デジタル経済化の推進など、企業活力の活性化に重点を置き、EU改革にも意欲をみせるマクロン大統領は、財政赤字をGDPの3%以下にするEUの財政規律の達成を重視。各省予算の一律削減や赤字を垂れ流す国有鉄道にメスを入れるなど、なりふり構わぬ歳出削減に取り組んでいます。

これらの改革で国民の不満が限界に近付いていた中で行われたのが、軽油(ディーゼル車)の増税だったのです。実はフランスではディーゼル車の方が二酸化炭素の排出が少ないと言う理由で国が推奨してきた歴史があります。それが大気汚染を理由にディーゼルは環境に悪いと方針転換し増税を決めました。それも、企業活動は対象外で、個人消費が増税の対象になったのです。

これが低所得者の財布を直撃、特に車生活を余儀なくされる地方在住者にとっては、これまで「経済的な効率性」のために鉄道のローカル線を廃止し、農村部の学校、病院、郵便局を閉鎖し、町はずれの巨大ハイパーマーケットを優遇して町村内の弱小商店を廃業させ、車を生活必需品にしたのは国の経済政策なのに、そのツケをまず庶民に払わせるのは不公平だ、と人々は怒ったのです。

そして、最も重要なのが、この運動は極右や極左政党が先導しているのではなく、ソーシャルメディアを通じて一般の人たちが支持している運動だという事です。支持率は75%に達しています。

グローバリズムの主張は、経済を自由化すれば、金持ちから豊かになり、それがいずれ国民全体を豊かにすると言うものですが、フランス国民の多くは現実的にそうなっていないことに憤っており、ついに我慢の限界を超えたという事でしょう。マクロン大統領=グローバリズムの主張する論理は、嘘だと多くの大衆が気付いたのです。

これは、フランスだけではなく、ドイツでメルケル首相が国民の支持を失い今季限りでの引退を表明したように、EUをリードしてきたドイツ・フランスの国民が、グローバリズムは間違いだったと判断したことを意味しています。来年3月にイギリスのEU離脱が決まっていますが、EUは着実に崩壊に向かっているようです。

 

■燃料価格高騰で抗議デモ 1人死亡、28万人が参加 フランス2018年11月18日

フランス国内の各地で17日、燃料価格の高騰や燃料税の引き上げに抗議するデモが展開された。参加者らは「黄色いベスト」運動と称して路上作業員用の安全ベストを着用し、各地の道路を占拠した。

国内2000カ所以上のデモに合計28万人前後が参加。国内で計227人が負傷し、このうち6人が重傷。計73人が警察に拘束された。警官5人が軽傷、1人が重傷を負い、さらに憲兵5人が負傷した。

■飛幡祐規 パリの窓から「目に見えないフランス」の大行動~「黄色いベスト運動」2018年11月21日

富裕税(不動産以外)の廃止や有価証券譲渡税の一律化(30%)など、最も豊かな層を優遇する一方、住宅援助を削減し年金に増税し、最低賃金の増額は雀の涙・・・「金持ちのための大統領」に対する庶民の不満が募ったのである。そんな中、「炭素税」と呼ばれる環境対策を名うった軽油・ガソリン税の値上げに抗議する声が、ビデオや署名などソーシャルメディアを通して火がつくように広まり、「11月17日に反射安全ベストをつけて道路を封鎖しよう」という呼びかけが各地で生まれた。メディアはこれを「黄色いベスト運動」と名づけた。

価格はガソリン車より高いが軽油が安いディーゼル車は、走行距離が長い日常生活を送る人にとって経済的だ。おまけに長年「CO2が少ないクリーン車」と宣伝され、政府の優遇措置も続いたのだから、突然、「環境の敵」にされて増税の罰を受けたことに使用者は怒ったわけである。低所得者層にとってはとりわけ、ガソリン代がかさめば食費、暖房費、医療費などを切り詰めなければならない。車中心の生活様式はたしかに気候温暖化に影響を与えるが、これまで「経済的な効率性」のために鉄道のローカル線を廃止し、農村部の学校、病院、郵便局を閉鎖し、町はずれの巨大ハイパーマーケットを優遇して町村内の弱小商店を廃業させ、車を生活必需品にしたのは国の経済政策である。そのツケをまず庶民に払わせるのは不公平だ、と人々は怒った。

また、11月24日に「パリへ集まれ」という呼びかけもフェイスブックに投稿され、コンコルド広場での集会が予定されている。

労働組合、政党、市民団体が組織するのではなく、ふだんデモや政治活動に参加しない民衆、とりわけ農村部・都市周辺の人々が政府に反対し、自発的にアクションをよびかけた運動は前例がなく、新しい形の民衆運動と見ることもできる。

■仏で抗議デモ続く シャンゼリゼ通りで警察と衝突も2018年11月25日

フランスの首都パリのシャンゼリゼ通りで24日、反政府のデモ隊と警察が衝突した。有名な大通りに催涙ガスが充満する中、デモ参加者らはマクロン大統領への抗議を新たにした。17日午後の時点でのデモ参加者数は24万4000人だったのに対し、24日午後には8万1000人にとどまり、首都を閉鎖せよというデモ主催者らの呼び掛けは奏功しなかったものとみられる。

■「暴徒」には屈しない=燃料増税抗議デモ受け仏大統領2018年11月28日

フランスのマクロン大統領は27日、燃料価格が家計を圧迫していることに対する地方有権者の怒りに理解を示しながらも、「暴徒」に屈して政策を変更するつもりはないと述べた。

大統領は、1時間にわたってクリーンエネルギーへの転換計画について演説し、「われわれは方針を変えるべきでない。なぜなら、政策の方向性は正しく、必要なものだからだ」と訴えた。

■仏全土で燃料増税に抗議のデモ、パリは都市機能がまひ2018年12月2日

フランス全土で燃料税引き上げに抗議する大規模デモが1日に行われ、世界的な観光地パリは都市機能がまひしました。デモに参加したのはフランス全土でおよそ7万人、パリだけで5500人にのぼりました。シンボルの「黄色いベスト」を着たデモ隊の一部は、投石や車に火を放つなど暴徒化、治安部隊は、催涙弾や放水車を使って排除に乗り出しました。このデモで少なくとも110人がけがをし、287人が逮捕されています。

■マクロン仏大統領、暴動対応を首相らと緊急協議-パリで412人拘束2018年12月3日

フランス全土で起きた暴動から一夜明け、アルゼンチンから帰国したマクロン仏大統領は閣僚らと緊急協議を開催した。

パリ警察の発表によると、1日のデモで拘束者412人、負傷者は治安部隊の23人を含めて133人に上った。暴動はトゥールーズ、ナント、リヨン近郊、アルデンヌ地方でも発生。パリの暴徒はいたる場所で自動車に火を放ち、店舗やレストランから略奪し、凱旋(がいせん)門にスプレーで落書きするなどした。

運動はソーシャルメディアを通じて組織されており指導者はいないが、世論調査によると仏国民の4分の3が支持している。

■仏首相発表、デモ激化で増税を半年間延期2018年12月4日

フランス政府は4日、事態を鎮静化するため、来年1月から予定していた燃料税の増税を半年間延期すると発表しました。地球温暖化対策を重要課題に掲げるマクロン大統領にとって増税延期は後退を意味しますが、今月8日にも大規模デモが予告されていることから、これ以上の混乱を避けることを優先した形です。

■市民のデモが続くフランス マクロン大統領の支持率が最低を更新2018年12月5日

マクロン大統領の支持率は23%と、先月の調査から6%ポイント低下。フィリップ首相の支持率は10ポイント低下し26%となった。マクロン大統領の支持率は、オランド前大統領の2013年末の支持率と同水準だという。オランド氏は当時、現代フランス史上、最も支持率の低い指導者とみられていた。

■フランスのデモがマクロンを標的にするわけ2018年12月5日

企業の解雇手続きの簡素化や不当解雇補償額の上限設定などの労働市場改革を断行。予算編成でも、法人税率の段階的な引き下げ、金融資産にかかわる富裕税の廃止、投資やイノベーションの促進、デジタル経済化の推進など、企業活力の活性化に重点を置いている。

欧州連合(EU)レベルでの改革にも意欲をみせるマクロン大統領は、改革実行の旗振り役となり、ほかのEU加盟国の協力を取り付けるために、自ら範を示そうとしている。財政赤字をGDP(国内総生産)の3%以下にするEUの財政規律の達成を重視。各省予算の一律削減や赤字を垂れ流す国有鉄道にメスを入れるなど、なりふり構わぬ歳出削減に取り組んでいる。

マクロン大統領の就任以降、対内直接投資やスタートアップの増加など、改革の萌芽も少なからずみられる。就任時に9.5%だったフランスの失業率は8.9%まで低下した。だが、多くの国民は改革の成果以上に痛みを感じている。企業活力の回復を重視した改革メニューは「富裕層優遇」と非難され、スピード重視の強引な改革手法は「国民の声に耳を傾けない」として批判されている。そこに、エリート色の抜けないマクロン大統領自身に対する「傲慢」との批判や、大統領の警護責任者によるデモ参加者(今回のではない)への暴行疑惑なども加わり、国民の不満に火がついた。

調査会社BVAによれば、大統領の支持率は26%に落ち込み、就任19カ月目としては前任者(フワンソワ・オランド大統領)の48%、前々任者(ニコラ・サルコジ大統領)の29%を下回る。暴動発覚後のHarris Interactiveによる世論調査では、暴力行為に対しては批判的な意見が圧倒的に多いが、回答者の実に72%が黄色いベスト運動を支持している。

初回投票でのマクロン氏の得票率は24.0%に過ぎず、有権者の半分近くが反EUや反緊縮を掲げる候補に投票した。初回投票の上位2名で争う決選投票で、極右政党・国民戦線(今年6月に国民連合に党名を変更)のマリーヌ・ルペン候補と対峙。極右大統領の誕生を阻止するため、多くの票がマクロン氏支持に流れた。今回のテロに参加する人々の多くは、もともとマクロン体制を支持していたわけではないだろう。

任期5年の直接選挙で選ばれるフランスの大統領は強い権限を持ち、よほど明白な義務違反のない限り、罷免されることはない。大統領は国民議会の解散権を持つが、マクロン大統領の共和国前進が議会の安定多数を確保しており、大統領と国民議会の間に対立関係はない。ただ、過去には民衆による厳しい抗議行動が政府の方針転換を促したことや議会解散の引き金となったこともある。

メルケル首相のリーダーシップが衰えるなか、欧州を引っ張っていく存在として期待されていたのがほかならぬマクロン大統領だった。そのマクロン大統領までもが改革頓挫で求心力を失えば、フランスのみならず欧州の未来にとって憂慮すべき事態と言える。

■仏「燃料税」引き上げ断念2018年12月6日

フィリップ首相は、2019年1月1日に予定されていた燃料税の引き上げを半年間見合わせるなどの譲歩案を示したものの、不十分との声が相次ぎ、今週末に再び抗議デモが起きる可能性が指摘されていた。こうした中、ドルジ環境相は5日、さらなる暴動を避けるため、2019年いっぱいは燃料税の引き上げを断念すると表明した。

しかし、貧富の差が拡大しているフランスでは、今後、最低賃金引き上げを求める声が強まる可能性もあり、抗議デモが収まるか見通せない状況