1996年 ユダヤ教徒の世紀末メシア待望運動と 失われた10支族探し

ユダヤ教徒の世紀末メシア待望運動と
失われた10支族探し

 

●一般にユダヤ教には「カルト」が存在しないと言われているが、敬虔なユダヤ教徒たちが、2000年前から持ち続けている最終悲願は、ソロモン第三神殿建設と失われたイスラエル10支族との再統合、そしてメシア(救世主)到来である。現在、ほとんどのユダヤ教徒は、ハルマゲドン(人類最終戦争)の日、神が全てのユダヤ人を再び一つにまとめると信じている。にわかに信じられないと思うが、ユダヤ教徒たちは「ユダ家」を筆頭とする2支族と「エフライム家」を筆頭とする10支族の再統合を、ずっと待ち続けているのである。

●ユダヤ人たちは2000年間に及ぶ離散生活(ディアスポラ)を余儀なくされ続けたが、第二次世界大戦後の1948年、自分たちの国家、イスラエル共和国が建国されたことによって、自分たちはやっと祝福の時期に入ったのだと認識することとなった。と同時に、近い将来起こるハルマゲドンは、ユダヤ人に対する最後の呪いの時で、そのとき全人類の3分の1、ユダヤ人の4分の3が死滅するということを覚悟しているという。

つまり、現在のユダヤ教徒たちは、“呪い”と“祝福”の期間が互いに折り重なったまましばらく続き、ハルマゲドン後のメシア到来によって本格的な祝福の時代(至福千年王国)へと入っていくと考えているのである。

メシアはイスラエルの理想的な指導者で、そのメシアが来る前には、世界中のユダヤ人が全てイスラエルの地に戻って来なければならないという。メシアが先かソロモン第三神殿建設が先かは分かっていないが、機は既に熟しており、いつメシアが来てもおかしくないという。

●イスラエルにある「神殿研究所」では「ソロモン第三神殿の再建予想図」を、コンピュータ・グラフィックなどを使って細部にわたって仕上げている。それは『旧約聖書』や『タルムード』や聖書考古学などの、正確な情報のインプットから生まれたものであるという。この神殿研究所では他に、来たるべき日に用いられる祭司服や神具などの製作を行い、本格的な準備を進めているのである。

『旧約聖書』によると、神殿の頂点に立つ大祭司には、“アロン家”の血筋でないとなることができない、と言及されているため、ちゃんとアロン家の子孫のための「祭司養成所」が設立されている。そこでの生徒数は約150人で、そのうちの15人が純粋なアロン家の子孫であるという。

●『旧約聖書』のメシアについての預言は340ヶ所あるが、キリスト教徒は、その全てがイエス・キリストに当てはまると主張している。しかし、ユダヤ教徒は絶対にそれを認めようとはしない。

そもそもユダヤ教徒の厳しい戒律生活(タルムード的生活)の中に、イエス・キリストの教えで構成されている『新約聖書』の入り込める余地はない。そのため、イエスがメシアであるということをどうしても認められないようである。

ユダヤ人はイエスを信じないので、もちろんAD(Anno Domini:キリスト紀元)という年号は使用しない。その代わりに、BCE(Before the Common Era:共通1年以前)およびCE(Common Era:共通1年以後)という年号を用いる。このユダヤ暦は西暦に3760年を足したもので、今年(1996年)は5756年になる。

●しかし面白いことに、ユダヤ人は『新約聖書』を完全に無視するが、「ヨハネの黙示録」だけは特別に信仰しているのである。

その「ヨハネの黙示録」によれば、終末の日、自らをメシアだと名乗って登場する人物は「反キリスト」で、“獣”“滅びの子”“666”とも呼ばれ、世界動乱の時に愛と分かちあいを訴えて登場し、新生ローマ(国連?)の指導者として華々しい平和的活躍をするという。

しかしある日突然、反キリストとしての本性をあらわにし、自分こそがメシアであり神であると世界に宣言し、世界統一政府に君臨し、人類を壊滅的な大戦争に巻き込むという。『旧約聖書』の「ダニエル書」では、反キリストが聖なる場所(ソロモン神殿)に入るとき、人類史上かつてない大艱難が訪れ、その期間が短縮されないならば、人類は一人として生き残れなくなると預言しているという(-_-)。

 


今も封印されたままである聖地エルサレムの「黄金の門」

将来のメシア(救世主)到来の日、この門が開かれるという…

 

●まあ、こういったオドロオドロしい預言の正否は置いておいて、ユダヤ人たちは、やがて帰って来るイスラエル10支族の姿が、ヤコブやモーセの祝福を受けた形で出て来るに違いないと注目しているわけだが、彼らはイスラエル10支族のほうが、現在のユダヤ人たちよりも多くの地上的祝福を約束されていることを、よく理解しているという。

●ユダヤ人たちは「律法」に生きるとともに、「預言」にも生きてきたわけだが、失われたイスラエル10支族に対する捜索は、単なるロマンではなく、具体的な作業に入っており、多くの学者たちも一般の人達も興味を持って進めているのは、知る人ぞ知る事実である。彼らは世界の多くの国々に対してスポットライトを当てて、厳密な民族調査をしており、風俗習慣や言語、性格などの細かい点にまで関心を払って、失われたイスラエル10支族の謎を説き明かそうと努力している。

●果たして、ユダヤ人たちが2000年以上も信じ続けてきたソロモン第三神殿建設と失われたイスラエル10支族との再統合、そしてメシア到来は本当に近い将来実現するであろうか? それとも大いなる誤解に基づいた単なる「迷信」に過ぎないのか? それとも、それらの預言を自分たちに都合のいいように「演出(利用)」しようとするグループがいるのだろうか?(どっかの教団のように……)。

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